絶滅してしまった日本犬がいることを知っていますか?
子供よりペットの数が多くなっている日本で、よく見かける日本犬といえば柴犬。
ハチ公物語のハチやロシアのトップスケーターザギトワ選手と一緒に暮らすマサル、秋田犬。
ソフトバンクのCMにでてくるおとうさん、紀州犬。
日本犬と勘違いされることがある土佐闘犬は、洋犬との混血なので日本犬ではありません。
きっと、現代の日本人が持っている日本犬の知識は、少ないのではないでしょうか?
日本人によりそい、日本人の暮らしを助けてきた日本犬たち。
どんな歴史と系譜を辿ったのか、調べてみました。
犬は、約2~3万年前にオオカミを家畜化したことで生まれ、猟犬・番犬・牧羊犬として人の暮らしを助け、必要に応じて品種改良をされてきました。
日本では、約1万年前に縄文人の先祖が持ち込んだ南方アジア系の犬をもとに、弥生時代と古墳時代に朝鮮半島から渡来した人々が連れてきた犬との混血で、現在の多くの種の基礎形ができたといわれています。
世界的に有名な犬の登録団体のアメリカケンネルクラブは、500種もあるといわれている犬を7つのグループに分類しています。
・ガンドッグ GUN DOG (鳥猟犬)
・ハウンド HOUND(獣猟犬)
・ワーキングドッグ WORKING DOG(使役犬)
・テリア TERRIER
・トイ TOY(愛玩犬)
・コンパニオンドッグ COMPANION DOG(非競技犬)
・ハーディングドッグ HURDING DOG(牧羊犬)
そのうち日本犬は、ハウンド HOUND(獣猟犬)に属し、マタギなどがイノシシやクマの猟のために育種してきました。
外見の特徴は、口吻がとがっていて、耳が立ち、尾は巻尾か差尾(背に平行に前に伸びている)。
また、育種された場所によって体形や毛色に違いがあり、微妙な違いによって犬種が分けられています。
日本犬研究家の小山宏さんの調査によると、約80種類あったといいます。
しかし、そのほとんどが絶滅してしまいました。
本格的な日本犬保存が始まったのは、昭和初期。
日本犬の6犬種(北海道犬・秋田犬・甲斐犬・紀州犬・四国犬・柴犬)が天然記念物に指定され、保存団体と犬の基準が確立されました。
このうち、北海道犬・秋田犬・甲斐犬・紀州犬・四国犬は数が大きく減り、絶滅危惧種になると心配をされ、秋田犬も頭数が少なくなっています。
現在の日本犬を調べると、北海道犬や琉球犬はあまり混血がおこしてなく、本州・四国・九州にいた犬は朝鮮半島から渡ってきた犬の遺伝子を色濃く持っています。
これは、アイヌと琉球人が縄文人の直系であるされる人類学の研究と一致しています。
日本犬が辿った系譜は、日本人の歴史でもあるといえるようです。
参考書籍:戸川幸夫著「いぬ馬鹿」
参考:公益社団法人「日本犬保存会」https://www.nihonken-hozonkai.or.jp/