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犬と猫など異種ペットを飼うには? 前編 – 注意点について

犬と猫など異種ペットを飼うには?

前編

    注意点について


 犬と猫のほかにも、思いがけない組み合わせの異種動物たちが仲良くしている姿はほほえましいものですね。猫とインコなど捕食・被食関係なのに仲睦まじかったり、異種動物の子どもを育ててしまう動物までいます。私たち人間には分かり得ない友情や愛情があるのかもしれませんが、異種ペットの飼育は通常可能なのでしょうか。それともハードルの高いものなのでしょうか。今回は注意点について考えてみます。

いきなり引き合せないで

 犬と犬など同種のペット同士でも先住ペットの年齢や性質を考慮して複数飼いしないと失敗の可能性が高くなります。異種動物ならなおのこと。相性はさらに未知数であり、「きっと仲良くしてくれるだろう」という楽観視は危険です。引き合せてみて、片方が攻撃しそうだったり、逆に怖がる様子を見せた場合は、ひとまず同じ場所には置いておけないので、飼い主さん側での事前対策が必要です。

 オリーブ動物病院(東京都国分寺市)の有薗浩見院長は異種ペットの飼育について、前提としてこのように語っています。「恐らくペット側からすれば、異なる動物と一緒に住むことは喜ばしい事態ではないだろうと思います。例外はあるものの、異種動物同士は仲良くならないのが普通です。仲良し例はむしろ少数派と言えるでしょう。」希望的観測で仲良くすることを期待してしまうのは人間の自己満足になってしまうかもしれないというご意見です。

 まずはいきなり引き合せず、ワンクッションおいて様子を見ましょう。同じ家の中でも別の部屋で飼い始めるなどして、少しずつ相手の存在を察知させていくのがよいでしょう。互いに鳴き声が聞こえてきたりして馴れさせつつ、徐々に距離を縮めていくのが無難です。突然引き合せて、いきなりかみ殺されてしまうこともあり得ます。また、攻撃の意図がなくても動物の体格差によっては、遊んだりじゃれたりしているつもりがけがをさせたり最悪死なせてしまうこともあります。どう出るか、ペットの性格によって分からない面が多いことでしょう。攻撃しそうな時のためには、すぐ両者を引き離すことができるケージなどを備えておくことも重要ですね。

飼育スペースのゆとりが必要

 異種ペットの飼育環境で難しい点は何があるでしょう。有薗先生にお聞きしました。「首都圏や各地域の都市部では、基本的にペットは室内飼いされていることが多く、住まいや庭など飼育に十分なスペースが確保しにくいと思います。棲み分けするぶん、同種飼いよりスペースに余裕が要ります。来院される飼い主さんでも同種飼いがほとんどで、特に都内では異種で飼う方は少数派でしょう。ただし、田舎暮らしや郊外住まいで広さにゆとりある居住環境の飼い主さんなら、異種ペットを飼うハードルはより低くなりますね。」この場合は、居住スペースに合わせた小さいサイズのペット同士にするなど、工夫の余地はあります。それ以外では、異種ペットを飼うと複数種の動物を扱うことになり、飼い主さんのお世話の手間も増え、それぞれの動物の習性や、食事を含めた飼い方の知識全般について勉強しないといけない点が挙げられました。

異種間で移る病気などは?

 日常で可能性が高そうなものとしては、寄生虫やノミ・ダニの移し合いがあります。「寄生虫はフンから移ることが多いですが、駆除薬は体重に合わせた分量調整の必要はあるものの、同じもので効きます。ノミ・ダニについては、猫が外猫から貰ってくることが多いので、もし移るとすれば猫から犬へ移る確率が高いでしょう。犬の場合は、今は野良犬もほぼいませんし、犬のノミ・ダニ駆除は徹底されていますから犬ノミ自体が減っています。」と有薗先生。あとは、鳥から犬や猫に移るもので、オウム病や、可能性がかなり低いですが鳥インフルエンザの事例があります。

犬が猫のフードを食べたら?

 犬と猫を一緒に飼うと、お互いのフードを食べてしまうことが考えられます。犬がキャットフード、猫がドッグフードを食べるとどうなるでしょうか。多少食べた程度で危険な訳ではありませんが、それぞれ必要な栄養素が異なっているため互いに常食にしてはいけないと、有薗先生は注意を促しています。「基本的に、ドックフードは低カロリーでカルシウムが豊富、キャットフードのほうが高タンパクで高カロリーに作られています。猫のほうが犬より高カロリー食を必要としているからです。」つまり、犬がキャットフードを食べ続ければ、高カロリー過ぎて肥満の危険があります。

 「カロリー面だけでなく、キャットフードのほうがドックフードよりしっかり味が付いていて犬にとっても“美味しい”食事です。味をしめてしまうと肥満につながり、肥満から来るさまざまな病気のリスクが出てきます。」犬のキャットフード常食はご法度ですが、反対に、猫にとってドッグフードは味気ないのか、自然と食べない傾向にあるようです。

 後編では、異種ペット同士の相性を考えて、どういう組み合わせが成功しやすいのか、どういう棲み分けをすればよいかなどを探ってみましょう。

取材協力:オリーブ動物病院(東京都国分寺市)http://www.olive-ah.com/index.htm


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