子供と犬を守るために
乳児とゴールデンレトリバーの事故を考える
桜沢ルミ さん
今回の事件については、『ゴールデンレトリバーの犬種的な問題』や『老夫婦のしつけの問題』との捉え方があるようですが、私は単にコミュニケーション不足から生じるボタンのかけ違いが大きな要因だと思います。
昨今のペットブームで、犬が人間の生活の隅々まで共にするようになり、『吠えない子はおとなしくていい子』そして『吠えないから何も言っていない』という、人間の子供と同じ基準を犬に当てはめすぎてはいないでしょうか?
犬からの言葉は吠え以外にも、
・身体をなめる
・そっぽを向く
・頚の辺りを掻く
といった、「一見意味のなさそうな」行動もあります。
飼い主は、この「一見意味のなさそうな」愛犬のしぐさが、
「どういう感情」で「どのくらいの段階のものか」
を普段から見極めておく必要があると思います。
それは、人と人とのコミュニケーションと同じく、最初は小さく穏やかな表現から始まり、相手に伝わらなければ、だんだんと大きく激しい表現になります。
そして、そこに身の危険を感じれば、相手を制止するように動くのが動物の真っ当な本能です。
もし、この老夫婦が「犬を犬として」扱い、『この子はおとなしいから大丈夫』と犬任せにせず、おそらく発していたであろう愛犬のサインを見逃さなければ、結果は違っていたように思います。
犬は、大切な家族ですが、人間の子供とは違います。
かけがえのない家族の犬としての個を尊重し、日々の生活の中でコミュニケーションを深めていくことが、犬と人とのよりよい関係を続ける上での大切な要素ではないでしょうか。
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