乗馬インストラクターがお伝えする馬のお話。
今回は、ナチュラルホースマンシップから読み解く馬の表情に付いてです。
馬は、顔で多くのことを伝えています。
馬が他の馬や人間とコミュニケーションをとるために複数の表情やジェスチャーを組み合わせてメッセージを送っています。
頭の高さ
馬に近づく時に、頭を高くしていたら、馬は警戒しています。
緊張や、単に好奇心のせいかもしれませんが、いずれにしてもアドレナリンが多く出ています。
頭を低くしてるのは、‘全てが順調’を意味しています。
最も良いのは、頭を低いところに保っている状態です。
鼻と口
鼻や口は、大きな親愛の情を表すことができる部分です。
馬は、友達を緩めた唇とリラックスした鼻面でグルーミングします。それから歯を立てて行うもっとハードなグルーミングに移っていいか、唇で相手の馬に尋ねます。
もしも馬が唇を緩め、鼻面をリラックスさせていたら、馬はあなたを友達とみなしています。
チューイング
舌をぺろぺろさせ、口をくちゃくちゃと動かすのをチューイングと言います。
この動きは馬が人への同意を表していたり、物事を良く考えて納得できた時などにも行います。安心した時にも出ます。
噛み付く
馬が噛み付くのは最後の手段として行われます。
自分のパーソナルスペースを守りたい時に「あっちへ行って」と意思を伝えますが、噛み付く前により害のない方法でその意思を表しています。
例えば、耳を伏せたり、尻尾を振ったり、身体の向きを変えたり、目を細め唇をこわばらせたりします。
馬が人を噛むときは他の馬をま噛む時と同じでパーソナルスペースから出て行って欲しい、放っておいてほしいのです。
噛む前の繊細なリクエストに耳を傾けてあげましょう。
こわばった唇
固く結んだ唇は、ためらいや緊張を意味しています。
集中している馬にも見られます。好きではないと言うときもこわばります。
フレーメン
強い匂いに反応して上唇を捲り上がらせることをフレーメンと言います。
雄馬が牝馬の匂いを嗅いだ時や、痛みを表している時もあります。
上唇の歯肉をマッサージするとエンドルフィンという物質が分泌されます。これは体内のモルヒネのような働きをする物質です。
馬は上唇をめくりあげてこの物質を分泌させようとしていると考えられています。
あご先
緊張や恐怖心がとても強い場合、馬は唇をこわばらせるだけでなく、あご先をぐっと引くように力が入ります。
反対に、リラックスした下あごは明確な自信のあらわれです。
鼻の穴
馬がさまざまな息によるメッセージを使うのに合わせて、穴の形や大きさが変化します。
一般的に、鼻の穴がリラックスしていれば馬は落ち着いています。
穴が固い・小さい・こわばっている・すぼめられている時には、馬が否定的な感情を持っていることを示しています。
目
馬の目は感情を繊細に伝えます。
落ち着いている馬は、柔らかな目をしています。目の周りの筋肉がリラックスしています。
目の下のシワや膨らみは、馬が身体的または感情的な苦痛を味わっていることを示しています。
上まぶたにシワがよっているように見えたら、極度のストレスを受けています。
目を大きく見開いて白目を見せていたらパニック状態にあります。
馬が完全に目を閉じているところは滅多に見られません。ゆっくりなまばたきは、愛情を示したり、じっくり考えていることの表れです。
いかがでしたか?
紹介した馬の表情は、どれも見たことがあって、馬と接しているうちに自然と理解できるものばかりだと思います。
次回は、馬の顔の中でも注目することの多い、耳についてのお話をしますね。