しつけ・ケア

ドイツのペット事情 第1回.生活・しつけ学校・外出編

ドイツのペット事情

第1回「生活・しつけ学校・外出編」

岡村理英(AKC認定トリマー)


ペット先進国・ドイツからのリポート。
 第1回目は、ドイツのペット事情の生活編として、「生活・しつけ学校・外出」などについてお伝えします。

湿度の低い気候-ドイツでの生活-

 ドイツは、季節問わず湿度が低いため、湿度による不快感はほとんどありません。暑い時期は7月上旬から8月中旬までと短く、日本のような夏日、猛暑日になる期間は2週間あるかないかといったところです。ですから、ドイツの夏は、わりと過ごしやすく、各家々には冷房設備もありません。一方、冬はマイナス10度を下回ることもあるので、冬の暖房対策は徹底しています。
ライン川沿いの風景
photo by Naoko.H

 地域の生活では、街を綺麗にすることが徹底されています。洗濯物は外に干すことは禁止されています。近隣にちょっと小うるさい方がいると、通りに面した窓やバルコニーには花を植えるように指示されます。このような条項が、アパート(日本で言うようなマンション)に住むときの契約条件にも入っていたりします。

郊外へ行くほど大型犬に-ドイツ人の犬・猫の好み-

 統計では、犬よりも猫の頭数のほうが多いはずなのですが、都心部で猫を見かけることはほとんどありません。これは住宅事情によるものだと思います。アパートがほとんどの都心部では、猫が自由に外へいけるような造りになっていないのです。ただ、アパートの窓際に猫が日向ぼっこをしているような風景はドイツでも時々みかけることがあります。
公園の犬たち
photo by Naoko.H

 犬の種類は郊外へ行けば行くほど大型犬が多くなる傾向にあるようです。昔はあまり小型犬を見かけることがなかったと聞きますが、自宅近くにあるサロンのオーナーによると、以前に比べてチワワのような超小型犬を飼う若い人たちが増えてきたようです。
 普段街を歩いていて一番多く目にする犬種は、ジャックラッセルテリアです。日本でみかけるような獰猛さというか落ち着きの無さはなく、みんな落ち着いた子達ばかりです。徹底したしつけの結果なのでしょう。
 意外なのは、ドイツ産の犬が思ったよりも多くないこと。ダックスやシュナウザーはたまに見かけますが、シェパードはほとんど見かけません。

犬を飼うことは、しつけをすること-ドイツのしつけ学校-

 ドイツには、犬のしつけをする学校が数多くあります。日本と同様、犬を預けて訓練してもらうタイプ、飼い主と一緒にトレーニングスクールへ定期的に通うタイプ、トレーナーさんが自宅や近所の公園まで来てくれて、個人もしくは少数で訓練を行うタイプがあります。
 これらのしつけは法律で義務づけされているわけではありませんが、ドイツでは「犬を飼う=きちんとしつけをする」という図式が当然のように浸透しているので、多くの犬がきちんとした訓練を受けます。学校を探すサイトもあります(※1)。

ペットと一緒に過ごせる国

 ペットと共に過ごす時間を大切にしているドイツでは、ペットが入れるお店はたくさんあります。というより、ペットが入れないところをあげるほうが少ないかもしれません。
 まず電車、バス、タクシーなどの公共交通機関は全てOK。タクシーなどは、大型犬がちゃんと乗れるように整えられている車両もあります。電車、バス、タクシーを利用する際はいずれもキャリーバックやゲージ等にいれる必要はありません。わんちゃんもすっかり慣れたもので、電車の乗り降りは飼い主と一緒にきちんと順番を守ってできますし、駅やデパート等のエスカレーターもお手の物。移動になれている犬は空港の動く歩道だって、難無く乗り降りしてしまいます。

電車からみたカフェ
Photo by Kira

 さすがに食料品関係のお店(屋内のスーパーや八百屋等)にはペットは入ることができません。しかし、市場のような屋外の八百屋は大丈夫。ほかに入れないのは薬局と病院くらいでしょうか。ただ薬局に関しては小型犬は入ってしまっていたりする姿をみかけることがあるので、そのあたりは少し曖昧なのかもしれません。

ショップにも犬をつなぐ場所がある。 ショップ内の犬

 デパートは食料品売り場以外はOKです。カフェやレストランは星がつくようなちょっと敷居の上がる場所はペット不可のお店も一部あります。

 一方宿泊施設に関しては、ドイツ国内はペットOKのところがたくさんあります。

 たとえば南ドイツの観光都市、ミュンヘン。ブッキングドットコムへの登録ホテル数236件に対し、ペット宿泊OKのホテルは219件もあります。そのうちの5つ星ホテル全てペット宿泊OKというのもドイツらしいところ。ただこれがお隣のベルギーやオランダへ行くと、そこまで多くはないようです。

 ちなみに、EU圏内の移動は次の条件を満たしていれば、国境を越えての移動も楽々できます。

●狂犬病予防接種証明
●登録チップ(マイクロチップまたはタトゥー)があること
●獣医によって書かれた予防接種暦やその他の病名が記されたEUペットパスポート(EU-Heimtierausweis)を所持していること

 そのほか、入国する国によって条件がプラスされていることもあります。飛行機はキャリーバッグに入った状態の重さが8kg未満であれば、人と一緒の席に搭乗することができます。

人間とペットを区別する-ペットをめぐる意識の違い-

 ペットとの外出で気付いたことがあります。 まちのいぬ
 たとえば、電車やレストラン、カフェにペットと一緒に行った場合。日本では小型犬であれば大抵は膝の上ですね。しかし、ドイツでは犬は常に床です。抱えて膝にのせていると、「犬が病気なのか?」と声をかけられてしまいます。ドイツの人が犬をだっこしているような光景を目にすることはほとんどありません(何か危険なものがあったときだけ「抱える」ということはありますが)。

 日本はペットを家族の一員として大切にするあまり、どこか擬人化しているところがあるのかもしれません。一方ドイツには、人間とペットは違うという意識があるように思います。また、ドイツの人々は、犬や猫は人と別と認識しつつも、日本のように「犬や猫が嫌い(苦手)」という感覚がないような気がします。人が人に対して性格的な苦手意識はあっても、「近寄るのも嫌い」や「触れられない」という感覚がないように、犬や猫に対して嫌いという感覚はないようです。

 ほかにも、ドッグカフェ。ドイツには日本のようにドッグカフェというようなものは存在しません。カフェにペット用メニューがあるわけもなく、出てくるのは水だけです。たまに犬用のビスケットを置いてある所もありますが、そういったところは非常にまれです。こうしたところにも、日本とドイツ、それぞれのペットに対する意識の違いが現れているのかもしれません。

☆次回は、ペットと暮らすための住まいや、お散歩のマナーについてお伝えします。

参考リンク
※1:http://www.hundeschule.net/

ドイツのペット事情
第2回 住環境・散歩・トイレ

岡村理英

岡村理英

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(おかむら りえ)

AKC認定トリマー

短期大学卒業後、青山ケンネルカレッジ美容科を経て、ドッグショーの勉強を兼ねオーストラリアのグルーミングサロンに勤務。その後、東京のペットショップに店長として勤務。現在、ドイツにて出張トリミングなどのサービスを活動中。
掲載 『はじめてのペットサロン&ショップオープンBOOK』(技術評論社)、東都読売新聞など。

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