一時預かり中のウェルシュ・コーギーの金時(きんとき)は、ブリーダーで種牡(しゅぼ)として飼育された後、放棄されました。
*種牡(しゅぼ)とは:繁殖用の牡(おす)
牧羊犬であるウェルシュ・コーギーは、飼育が大変そうなイメージがあるかもしれませんが、少しシャイな面がある以外、穏やかで落ち着いていて、比較的飼いやすい犬種です。
ブリーダーから放棄された犬の特徴
一部のブリーダーでは、飼育している犬の頭数に対するスタッフ数が足らず、一頭一頭十分に関わり育てることができていないと考えられます。
そのため、大多数のブリーダー保護犬は、
*人と楽しい経験をしたことが少ない
*人に要求することを覚えていない( 要求に反応が返ってこない状況で過ごしてきたため)
状況にあります。
その影響で、多くのブリーダー放棄犬は、
* 保護当初、頻繁にマーキングをする
* 要求・依存吠えが少ない
* ゲージトレーニングを教えやすい
* 散歩をしたことがない(少ない)
* 喜怒哀楽が少なく、表情が乏しい
などの特徴があります。
家庭から放棄された犬の特徴
家庭から捨てられた犬には、
* ひとりでいることや留守番、ゲージで過ごすことが苦手
* 上記の状況に置かれた時、要求行動が見られる
などの特徴がある場合が多い。
留守番中に強く吠える犬は、近隣に迷惑がかかることがあり、家族に飼われていた犬の方が人との生活に慣れているから飼いやすいとは限らないケースもあります。
なぜ、保護される場所により犬の行動が変わるのか?
ブリーダーと家庭の両方に同じ犬種がいます。
そのため、犬種が生まれ持った気質の違いとは考えにくい。
では、何が違うのか?
家庭から放棄された犬は、しつけや人との生活ルールを教えられていなかったり、甘えるだけ甘えさせていたり、多かれ少なかれ「人に要求し(間違った形で)その要求とおった経験」をしています。
それが過度な要求吠えや留守番中の吠えとして行動に出ている場合、里親家庭を探す際に大きなハードルになることがあります。
崩壊や廃業によってブリーダーから放棄された犬には、ネガティブなイメージが先行します。
しかし、ドッグトレーナーとして犬の行動だけを見ると、これから里親家庭で飼う時、家庭放棄犬よりも飼いやすさを感じることが多いのもまた事実で・・・なんとも皮肉です。
生まれ持ったもの以上に、「どんな環境で、人からどう育てられてきたか」経験から学んだことの方が性格や行動に強く影響を与えるのです。
どちらがいい悪いではなく、後天的な人との関わりが犬の心と行動に与える影響力はとても大きい。
飼い主は、そのことをもっともっと考えなければいけない。
「これしたい、あれしたい」は、犬として当たり前の欲求です。
欲求や要求が一切通らない環境がいいのではなく、メリハリを持って関わることはもちろん、飼い主が犬の心理やトレーニングを学び、愛犬を躾けることが犬を飼う上で必要な責任ではないかと思います。
保護から2週間。
金時は、家庭ルールを学びながら、少しづつ喜怒哀楽(特に「楽」)が出せるようになり、表情にも変化が出てきました。
*「金時」の里親さん絶賛募集中です!
募集詳細は、下記ページよりご覧ください。
動物愛護団体『DogShelter』 里親さん募集ページ
http://dogshelter.jp/parents/
金時の預かり日記:ドッグコーチ里見潤さん「イヌも歩けば。」
http://setahachidog.blog.fc2.com/