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イヌに教え、教えられ 第8回 ちょっと勇気を出してみる

イヌに教え、教えられ

第8回 ちょっと勇気を出してみる


 

犬と散歩していると「カワイイね~」「お利口さんだね~」と声を掛けられることがある。
柔らかく話す様子から、犬が好きなんだなとすぐに分かる。「犬がお好きなんですか?」挨拶を返すと会話が始まることもある。
 
     犬をとおして人と繋がる・・・
 
そこまで大げさではないが、散歩中に知らない人と挨拶ができるのもなかなかいいものだなと思う。

新しい家族が決まるまで自宅で預かっている保護犬のつとむは、人に撫でてもらうことが大好き。散歩中にすれ違う人が、自分に関心を持ってくれるているかどうかが分かるらしい。
つとむは、声を掛けられなくても、出会った人の歩くスピードがゆっくりになり、目線や身体が自分の方を向き、表情が柔らかくなることが、自分に関心を持っている人のしるしとしているようです。
そのしるしを感じるや、ここぞとばかり尻尾を振りながら近づこうとする。つとむは、自分の好きなことに感覚がとても鋭くてすごいと思う。
でもその時、人間同士の恥ずかしさであったり、時間がなく急いでいたりすることもあり、なんとなくの会釈でお互いやり過ごすことがあるので、つとむのチャレンジが空振りに終わることも多い。
 
     でも、つとむはめげない。
 
空振りを全く気にせず、しるしを見つけるといつも同じように尻尾を振って近づいていく。つとむは、頑張ってチャレンジしているわけではなく、ただ好きだからやっているだけなのだろう。でも、自分からチャレンジし、空振りをしてもめげないで次!という姿勢に僕は感心する。
そんなつとむに影響を受けて、つとむに笑顔を向けてくれる人に「こんにちは」と、僕の方からちょっと頑張って挨拶をしてみることにした。
それ以降、つとむの撫でてもらう成功率が上がったかどうかは分からないけれど、「こんにちは」に「こんにちは」が笑顔と一緒に返ってくるのは嬉しいものだ。挨拶が返ってこないときも勿論あるが、それもめげない練習になる。
つとむのおかげで、出会った人に自分から挨拶をする練習を自然とさせてもらっているし、僕自身が人間同士の挨拶に少し積極的になってきた気がする。
 
イヌと暮らしていると、人が与える以上にイヌから与えてもらったり、教えてもらうことが沢山ある。
 
イヌとの生活は、毎日の散歩や運動、世話など、必ずイヌのために時間を取らなければならず、朝は早起きだし、仕事終わりでそのまま遊びに・・とはなかなかいかない。しつけやマナーも教えなければならず、可愛いだけでは飼えないのがイヌ。
大変なことも沢山あるけれど、それでも言えます、イヌと暮らす生活もなかなかいいものですよ、と。

2014年2月28日掲載

 

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第7回 喜怒哀楽は全力で

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里見 潤

里見 潤

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(さとみ じゅん)

ドッグコーチ

1975年、横浜市生まれ。2004年、警察犬訓練校に入学、出張トレーニング会社を経て、保護活動団体「Dog shelter」の専属スタッフとして、保護犬のトレーニング、一時預かり家庭と里親家庭の間に入り、アフターフォローを担当する。
2012年7月より独立。出張、及び預託トレーニングを柱に活動する傍ら、保護犬の一時預かりを継続中。
 
日本警察犬協会公認訓練士
ジャパンケネルクラブ公認訓練士
東京都動物愛護推進員

 保護犬預かりを主に、トレーニングのことを書いている里見潤さんのブログ
 「イヌと歩けば。」http://setahachidog.blog.fc2.com

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