兼島孝

飼い主だから分かってあげたい!ペットのSOS~Part(1) 鼻の異常~

飼い主だから分かってあげたい!
ペットのSOS

 
Part(1) 鼻の異常

    


 かわいいペットの様子やふと見せるしぐさで、潜んでいる病気が分かることがあります。普段一緒に過ごしている飼い主だからこそキャッチしてあげられるペットからのSOS。物言わぬ彼らの静かなシグナルが赤色に変わる前に、その異常に気づいてあげたいものですね。
 しかし、「飼い主さんと我々獣医師との温度差を感じる病気がいくつかあるんです」とおっしゃるのは、「みずほ台動物病院」の兼島孝(かねしま たかし)院長。
 飼い主が「大したことないんじゃない?」と思っていても、実は重い病気だったというケースが多々あるといいます。そこで、飼い主が注意しなければいけない具体的なSOSを、兼島先生に紹介していただきました。

 「鼻が湿っていれば健康。乾いていたら…」。
 そういいながら、ペットの鼻先に触れることはありませんか? 確かに、ペットにとって鼻の状態は健康のバロメーター。症状を見逃さずに、病気の早期発見につなげたいですね。
鼻は肺に空気を取り入れるだけでなく、犬や猫にとっては生きて行く上で重要な役割を果たす器官です。鼻の奥は見えにくく、病気が重症化・慢性化しやすいため、飼い主さんとしてはじっくり観察したいところ。
まず、

(1)鼻が乾いていませんか?
(2)鼻水が出ていませんか?
(3)くしゃみが多くなっていませんか?
(4)鼻が腫れてはいませんか?
(5)鼻血が出ていませんか?

 この5つを普段からチェックするようにしてください。
 ペットの鼻は寝ている時は比較的湿り気が少なくなりますが、起きている時は湿っているもの。それが渇いているようなら、体調を崩している可能性があります。
 次に、水っぽい鼻水がポタポタたれるほど出ている場合は、アレルギー性鼻炎の疑いがあります。鼻水に粘りがあって黄色や緑色をしていたら、細菌感染、カビ感染、蓄膿症の疑いも。くしゃみが多いのも、鼻炎や蓄膿症の症状です。
 鼻が腫れるのは、腫瘍ができているか歯槽膿漏の重症化が考えられます。アトピー性皮膚炎や日光過敏症も疑えます。日光過敏症は放っておくと皮膚がんになる場合もあるので要注意です。

鼻血を見たら

 さて、鼻の異常で一番怖いのが鼻血です。ペットが鼻血を出していたら、「あら、どこかにぶつけたのかしら?」などと言っていないで、迷わず病院に連れて来てください。
 人と異なり犬や猫はほとんど鼻血を出すことはありません。鼻血は、鼻腺がんなどの悪性腫瘍や重い肺水腫にかかっていることを示す異常サインなのです。至急病院に連れて行き、細胞検査やエックス線検査、CTスキャンなどを受けさせてください。

 この病気になりやすい犬種としては長頭種、つまりダックスフントやシェルティ、コリーのような鼻先の長い犬に多く見られます。鼻腺がんは、進行すると鼻が腫れて顔の形が変形したり、目が飛び出すなど、ペットばかりか飼い主にとってもつらい状態になります。「あら、鼻血だわ。何か変なものでも食べたのかしら?」と気に留めず、人と同じように鼻の中に詰め物をして鼻血を止めようとすると、詰め物が鼻の奥に入ってしまい呼吸ができなくなる恐れもあるので止めましょう。

 鼻腺がんの治療法としては、外科手術放射線療法抗がん剤の3種類。
「日本国内には放射線の設備を備えている動物病院は20カ所ほどしかないので、実際の処置は手術中心。手を施せない場合は、薬で症状を緩和するしかありません」
と兼島先生。
「ペットたちは鼻を自分で舐めてしまうので、鼻血に飼い主が気づいたときには手遅れというケースも多く、普段から様子をよく観察し、特に鼻先をひんぱんに舐めるしぐさを見かけたら、早めに病院で検査してもらうことをお勧めします」。

 鼻に異常があれば嗅覚が落ちて自然と食欲もなくなるはず。さらに頭の中が重かったり、痛みを伴っているかもしれません。大好きなオモチャで遊ぶ元気もなくなるかもしれません。頭に触れられるのも嫌がるかも…。そんなペットのSOSを、キャッチできるかどうかは飼い主さんの愛情次第ではないでしょうか。

飼い主だから分かってあげたい!ペットのSOS~Part(2) 多飲・多尿~

兼島 孝

兼島 孝

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(かねしま たかし)

獣医師

北里大学獣医学科大学院博士課程修了。
東京大学獣医学科大学院研究生修了。獣医外科学専攻。
(社)日本獣医師会、(社)埼玉県獣医師会に所属。

[ みずほ台動物病院 ]
平成3年開院。獣医師5名、動物看護士8名。常に最善の治療を施すため、“チーム医療”を導入。一つの症例を複数の獣医師で検討。必要な時には他機関の獣医師とも連携を取り治療にあたっている。http://www.mizuhodai.com

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