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許容範囲(限界)を守った活動を ~保護活動「かわいそう」と向き合う難しさ~

許容範囲(限界)を守った活動を

~保護活動「かわいそう」と向き合う難しさ~


最近、ある動物施設で数百匹の犬や猫が不衛生な状態で長期間放置されていたことが分かり、動物愛護法に基づき行政指導が行われたというニュースが流れました。
この動物施設は、営利目的で過剰繁殖するブリーダーや、避妊去勢せず多頭飼育をする一般人による無計画な自然繁殖の破綻・・・そのどちらもでありません。
捨てられた動物を保護し、新しい家族に譲渡する、犬や猫を助ける側であるはずの保護団体の施設で起こったことなのです。


保護動物の数に対して、人手が圧倒的に足りない状況のまま活動を続け、活動する人に余裕が無くなり、1頭づつ丁寧な世話はできず、ご飯やりや掃除がずさんになっていった。
市職員が現場に入った時、施設内はゴミで溢れ、動物の死骸が放置され、痩せ細って衰弱した犬猫も多かったそうです。

【毎日新聞News】
「犬猫ネグレクト 汚物まみれ、死骸放置 兵庫・姫路のNPO保護施設 市が改善指導」
http://mainichi.jp/articles/20160823/ddn/041/040/007000c


動物を守る側の施設で、なぜこのようなことが起きるのか?

私も保護犬の一時預かりをする中で「飼育崩壊する可能性が自分にもある」と常に言い聞かせています。

私は、約10年程、保護団体のボランティアとして自宅で犬を1頭づつ保護し、里親を捜す活動に関わっています。
預かる家族にも日々の生活や仕事があり、その中で生き物を保護して継続的に世話をしながら、里親を捜すことは決して楽なことではありません。
食事代、医療費などお金も掛かりますし、いつ里親が決まるかは分からず、期間を決めて頑張ればいいということでもありません。

今回、ニュースで報じられた保護団体代表も、活動を始めた頃は、動物を助けたい一心だったに違いありません。
でも、次から次に行き場所がなくなった犬や猫を目の前にし、これ以上自分では保護しきれないと頭で分かっていても、連れ帰らずにいれなかったのでしょう。
きっと、命の保証がない動物たちを目の前に「見過ごすのか・・?」という思いに苦しんだのかもしれません。

でも「助けたい」という保護する人の気持ちがどれだけあっても、無理を続ければ必ず身体は疲れてきます。
自ら世話ができる許容数がオーバーしているのに「かわいそう」という気持ちに流され保護頭数を増やし続ければ、すでに保護している犬や猫たち1頭づつに向き合うこともできず、やがて飼育崩壊する可能性があるのです。

団体で動物を保護をする場合、必ず許容範囲(頭数)があります

私は、保護団体の中心スタッフをしていた頃、8~9家庭のボランティア家族と「1頭決まれば、1頭を保護する」スタイルで、保護頭数の上限を9頭までと決めていました。

当時の一時預かりボランティア家族から「もっと保護する犬の数を増やすべき」と意見をもらったことが何度かありました。
その意見も勿論よく分かりました。しかし、命が関わる活動だからこそ、現実的視点を持ち続けて活動をしなければ、いつか保護した動物のQOLは下がりだし、里親を希望する家族のためにも、保護犬のためにもならなくなる可能性がある。
その考えをもとに、私は絶対に1頭づつしか保護しませんでした。

保護犬が適切なお世話、ケアを受けて、いい状態にいるか否かは、飼育部屋の(ある程度の)掃除具合や犬の様子を見れば分かります。

しかし、それ以上に
保護している人自身が、預かり生活を楽しめているか?
頑張り過ぎて疲れきっていないか?

これが、保護犬にとってひいては保護する人にとってもとても大事な判断材料なのです。

「助けたい気持ちで頑張っても、許容を超えれば、保護動物の為にならない」
そう頭で理解していても、目の前に助けが必要な動物がいれば、その許容ラインを守るのはとても難しいのも事実です。

『継続的に、良い活動』をするためにはどうするべきか?

保護活動に関わる人が、自分たちの許容範囲をもっともっと意識することが必要だと思います。

これだけ「1頭づつ」と言っておきながら、今私は、生後8ヶ月の兄弟犬を2頭保護して、里親を捜しています。
生後3ヶ月の頃、公園広場に捨てられていた2頭です。
説得力が無い・・と言われないように上手に休みながら頑張ろう。
この2頭の表情で判断してもらえるように。

 

2016年8月26日掲載

 

保護した子犬、ペットショップの仔犬 「幼犬期の環境」

保護犬の一時預かり、
ボランティア家庭が広まることを願い

里見 潤

里見 潤

投稿者の記事一覧

(さとみ じゅん)

ドッグコーチ

1975年、横浜市生まれ。2004年、警察犬訓練校に入学、出張トレーニング会社を経て、保護活動団体「Dog shelter」の専属スタッフとして、保護犬のトレーニング、一時預かり家庭と里親家庭の間に入り、アフターフォローを担当する。
2012年7月より独立。出張、及び預託トレーニングを柱に活動する傍ら、保護犬の一時預かりを継続中。
 
日本警察犬協会公認訓練士
ジャパンケネルクラブ公認訓練士
東京都動物愛護推進員

 保護犬預かりを主に、トレーニングのことを書いている里見潤さんのブログ
 「イヌと歩けば。」http://setahachidog.blog.fc2.com

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