大変な犬ほど楽しい
ビーグル2頭の
いたずらや散歩の引っ張り
生活の危機を感じた日々から
トレーニングを通じて生まれた絆
桜沢ルミ さん
いたずらや散歩の引っ張り
生活の危機を感じた日々から
トレーニングを通じて生まれた絆
桜沢ルミ さん
私が初めて飼った犬がビーグルです。
犬についての知識もないままに、たまたま入ったペットショップで子供が一目ぼれした子を、何の考えもなくその日に家族に迎えたという、一番やってはいけないパターンで愛犬との生活が始まりました。
ご存じない方のために補足すると、ビーグルは並外れた嗅覚を持ち、よく食べ・よく吠え・よく引っ張る、とてもイタズラ好きでパワフルな犬種です。
そんな犬をいきなり飼えば当然トイレは失敗ばかり、家のあらゆる物をかじられ、散歩は引っ張り続けてまさに散って歩く様。想像していた楽しい犬との生活とは、かけ離れた毎日でした。
『どうして、うちの子はこんなに大変なんだろう?
よその犬は普通に散歩くらいできるのに・・・』
そこで、ビーグルという犬種を調べてみると、嗅覚の鋭さや食に対する執着、そして大きな吠え声は、狩りに役立つようにと人間によって強化されてきたものだと知り、『ダメ犬なんじゃないか?』という愛犬への疑いが晴れました。
我が家の愛犬は、散歩もろくにできないどころか、地面からかすかに感じる食べ物の匂いをどこまでも追い求める、実に仕事熱心で優秀なビーグルだったのですから!
とはいえ、現代の日本において、毎日の散歩がそれでは困るのも事実です。
困り果てしつけ教室に駆け込み相談すると、トレーナーが一粒のオヤツを使って愛犬を集中させ、魔法のように数歩一緒に歩いて見せました。
愛犬が初めて上を向いて歩いた瞬間です。
人と犬が目を合わせて楽しそうに一緒に歩く。
私が思い描いていた憧れがそこにありました。
さらに、食べ物への執着が強いのはトレーニングの強みだと教わり、今まで短所だと思っていた愛犬の特性が、長所へとひっくり返りました。
それからというもの、オヤツをもって散歩に行き、ところどころ一緒に目を合わせて歩くようにしたら、愛犬の表情がイキイキしてきたのです。
期待をこめて私を見上げる目。
もちろんオヤツ欲しさはあるものの、それ以上に私からの言葉をワクワクしながら待っているのが伝わりました。
その魔法の方程式が、私と愛犬の間に芽生えてから、沈みがちだった毎日が一変しました。
トイレは失敗させないように誘導して、できたら盛大にオヤツをあげて褒める。
イタズラ防止も含め、クレートで大人しく過ごせたらオヤツ。
困っていることが多いほど愛犬とのトレーニングも多くなり、いつしかオヤツがなくても『できた』という意識が共有できる関係性が作られていました。
子犬時代はもちろん、成犬になってからも、人と生きていく上で犬に学んでほしいルールはたくさんあり、その学びが終わることはありません。
犬種の特性やその子の個性によっては、簡単にはいかないこともあるでしょう。
ですがそれを苦労と捉えるか、コミュニケーションのチャンスと捉えるかで、愛犬との関係や飼い主のストレスは大きく変わっていきます。
人と犬、共通の言葉を持たないもの同士、通じ合える手段がトレーニングです。
愛犬との生活は、10年を過ぎたころから終わりに近づいてしまいます。
その短い時間をお互い楽しく、色あせない宝物にするために、全ての犬と飼い主が当たり前のようにトレーニングを続けることを願ってやみません。
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