散歩中に、木や草地、電信柱をクンクンと嗅ぎ、呼んでも歩き出そうとしても踏ん張って動かない愛犬。
いつまでも続きそうな愛犬の匂い嗅ぎに根負けして、少しリードを強引にひき、執着している匂いのもとから引き離す・・・
きっと、多くの飼い主さんが、経験したことがあるのではないでしょうか。
なぜ、犬は、こんなに匂いが嗅ぎたいのでしょうか?
いったい、何が楽しいのでしょうか?
犬の嗅覚は、人の1億倍もの能力があると言われています。
犬にとって「嗅ぐ」ことがどんな意味を持ち、どのくらい重要なのか、私たち人がイメージすることは難しいかもしれません。
人には、「オシッコ臭」「臭い」など漠然とした匂いも、犬にとっては、性別・年齢・個体情報・健康状態・いつ頃付いた匂いかなど、分かる情報量が大変多く、知的好奇心を満たすと言われています。
私は、トレーニングで初対面の犬に会う時、衣服に他犬の臭いを付けて行きます。
家(テリトリー)に入ってくる人間は、犬にとって侵入者・来訪者・怖い存在など、捉え方が様々です。犬の反応も、吠える・喜ぶ・怖がるなど、いろいろあります。
その時、私は、自分から犬に挨拶を求めず、何もせず犬の行動をただ待っています。
すると、しばらくして、犬は私の衣服を嗅ぎ出します・・
犬自らの意志で匂いを確認することで、新たな状況を認知し、早く落ち着くことができると感じます。
犬は、嗅いから得た情報で相手・状況・環境を認識したり、安全確認をします。気持ちに影響を与えるぐらい、犬にとって嗅ぐ行為は大事な行動なのです。
散歩中、匂い嗅ぎはさせずにきちんと歩かせた方がいい、好きに嗅がせていると犬がワガママになるという考えもあると思います。
私も、犬の好き勝手にどこででも匂いを嗅がすのは、いいと思いません。
人や車・自転車などの往来が多い道や場所ではさせず、緑道や広場・公園などで好きなだけ匂いを嗅がせる。
犬の安全と周囲の状況を考えながら、犬が嗅いでいい場所・だめな場所を飼い主が判断し決めることが必要で、様々な側面からバランスがとれた状態だと思います。
「嗅ぐ」とき、犬は、とっても頭を使います。
匂いを脳に送り、情報を分析する。
「嗅ぐ」行動は、犬にとって知的な作業なのです。
ボール投げや走ることは、見ている私たちにもその楽しさが伝わりやすく分かりやすいのですが、「嗅ぐ」ことの重要性は見落としがちです。
「嗅ぐ」は、犬にとって、とても行動レベルが高い発散なのです。
十分に嗅ぐ時間を取ることで、犬の心身は、より満足します。
ただ歩いているだけではもったいない。
技術的にも、難しいことではありません。
「嗅ぐ散歩」はすぐ始められます。
15分散歩時間を増やすだけいいのです。
忙しい朝や帰宅して疲れてる中での15分は現代人にはとっても貴重です。
でも、犬にじっくり嗅がせる時間を取ることで社会性を継続して育み、犬としての自信を持てたり、落ち着きやすさにもつながります。
朝の15分、
私も続けていかないと・・言うより続ける方が難しいですから。
写真協力:里見潤さんのお家で一時預かり中の『くるり』
現在(2017年4月)動物愛護団体「DogShelter」より里親募集中!
『くるり』くんの紹介文
http://dogshelter.jp/parents/1509t0317kg_1.php