しつけ・ケア
イヌに教え、教えられ 第24回 導く強さも必要
どんぐりは、若くて元気一杯のチワワ。
「さぁ、僕についてきて!」とばかりにリードを引っ張る。
先輩犬チワワのあんとんは、8歳。
お相撲さん体型で散歩はゆっくりマイペース。
1頭はグイグイ、1頭は歩いたり歩かなかったり・・・
歩調が合わない2頭、左手と右手で持つリードが前後してしまうママは大変だ。
2頭がペースを合わせて散歩できるように、訓練をすることになった。
散歩は、どんぐりとあんとんにとって、いちばんの楽しみだから、犬たちの自由に歩かせてあげたい気持ちがママにはある。
なら「なぜトレーニングを?」と聞くと「もし自分が散歩できなくなって、家族にお願いする時、娘が散歩しやすく2頭も楽しく歩けるようにしておきたい」からと。
2頭のペースに合わせ過ぎてしまうママに指導したのは、
『あんとんが電信柱の匂いを嗅ぐ!と止まろうとしても絶対に止まらない』
『どんぐりが行きたい! と前に引っ張ってもリードを短く持ち、自分のペースで歩き続ける』
その2つだけ。
今までとは違うルールのある散歩にママの表情が少し陰る・・。
でも ここで折れてはいけない。その代わり、公園や広場では紐を目一杯伸ばして2頭の自由にさせる。
「on」 と「off」
「飼い主のペースに合わせて歩く時間」と「自由に楽しむ時間」
その両方を散歩に取り入れた。
上手に歩けているときは、そこを誉めて伸ばす。
どうしたら誉められるか?それを理解しはじめたどんぐりは、自分からママの近くを歩くようになった。そして、犬達に変化が見え始めた頃から、ママの歩く姿が堂々としてきた。
最後の Lesson を控えた頃、ママに様子を聞くと「私の採点は『たいへんよくできました』です。卒業試験を楽しみに待っていてくださいね」とお返事をもらった。
Lesson 当初は「私にできるかしら・・」と不安げだったママ。
この言葉を聞いて、私はもう大丈夫だと確信した。