ヨークシャーテリアの「リク」は、散歩中に会う人・自転車・車など、何にでも吠えかかる。
自宅周辺が通勤・通学する人や自転車がたくさん通る道なため、飼い主のYさんは、散歩中にすれ違う人や自転車にリクが吠える度に謝らなければいけないことに疲れ、散歩に行くことを重く感じるようになっていました。
元気一杯のリクは、散歩を心待ちにしている。
リクと散歩をするために、吠え軽減訓練をスタートすることにしました。
リクは、散歩の時、ここぞとばかりに大興奮します。
その興奮が、すれ違う対象への過敏反応つくっていました。
中でも自転車に最も吠えかかることが分かったので、まずは自転車に対する訓練を始めることにしました。
【訓練方法】
①リクが、自転車に興奮しだすタイミングで自転車との間に入り、制止する。
②吠えず我慢できたら、しっかり褒めてご褒美をあげる。
《吠えてしまった場合》
「違う!」で吠えを止めて
「いい仔〜」でその行動を認める
単純作業の繰り返しですが、どちらも受け取って理解してくれるリク。
これなら早いうちに飼い主にバトンタッチした方がと思い、Yさんのハンドリング指導に進みました。
そして、Yさんのハンドリングを受けて、リクが自転車に吠える頻度と程度が明らかに下がっていくとともに、自ら吠えないことが多くなってきました。
褒めることがどんどん多くなり、軌道に乗るかと思った頃、Yさんに課題発生。
吠え改善訓練は、まだYさんにとって付け焼き刃、気を抜けば吠えさせてしまうこともあります。
散歩中気を抜かず、近づく自転車にリクより先に気がついて吠えそうな態度を見せた時点で「違う!」と止めなければいけません。
前後や曲がり角など、いつどこから自転車が来てもYさんが対応できる準備をしているかが大事なポイントになります。
Yさんにとって、散歩中の楽しみはまわりの木や花を観ること。
木々花々を見ているうちに、周囲の状況確認を忘れてしまい、自転車が近くに来てから気が付き、対応が遅れてしまうことがありました。
Yさんの課題は、散歩中にトレーニング意識を持ち続けること。
私は、細かいアドバイスをせず、Yさんに周囲への確認を促し続けます。
そうして、繰り返し続けることでYさんの態度に変化が現れてきました。
Yさんが、周囲に気を配り、集中していることことが、隣で見守る私にも分かるほどになってきました。
リクより先に、自転車を確認して対応できる機会が増えて、リクを「褒める」ことも率先してするようになってきたのです。
そして、私の役割は、気を逸らすために、隣でわざと世間話をするだけになってきました。
次回の訓練までの自主練習を宿題とし、3週間後のレッスンで嬉しい変化が。
Yさんがひとりでリクの散歩をしても吠えないことが格段に増え、吠えたとしても1回吠え程度になっていったのです。
Yさん自身、自分でリクの「吠え」を止められることが自信となり、散歩が楽しくなったことで、毎日欠かさず散歩へ行くようになっていったそうです。
散歩の時間になると、リクもせがんで甘え鳴きするという変化も(笑)。
散歩習慣が戻ったリクとYさんは、訓練卒業です。
でも、ここからがもうひとつの本番スタート。
「トレーナーに見られているからやらなきゃ」ではなく、「いなくなってからの継続が大事」
これが、結構難しい。
Yさん、油断禁物ですよ!
忘れるような様子があれば、その都度リクのトリマーさんにクギをさすようにお願いしていますからね(笑)。