では、ストレスは馬の健康と栄養にどのような影響を与えるのでしょうか?
ストレスが馬の健康や栄養に与える影響
馬がストレスを受けると、それが急性であろうと慢性であろうと、その体はストレスホルモンを分泌することで反応します。
コルチゾールは、研究されている最も一般的なストレスホルモンです。
血液、唾液、さらには糞便中のコルチゾールレベルを測定できる診断検査があります。
コルチゾールレベルは、個々の馬のストレスレベルを評価するために使用できます。
ストレスホルモンの主な目的の 1 つは、ストレスが馬の闘争・逃走本能を引き起こしたときに、血液中のエネルギー (ブドウ糖) を動員することです。
ストレスホルモンは呼吸数と心拍数の両方を増加させ、馬がストレスの多い状況から戦うか逃げる準備をするときに処理されるブドウ糖の利用、酸素の供給、その他の代謝産物の増加に役立ちます。
(最も一般的です)
急性ストレス因子は馬の日常生活の中でよく見られるものであるため、通常は心配する必要はありません。
ただし、短期的なストレスは疝痛などの消化器系の不調を引き起こす可能性があります。
疝痛は重篤な消化器疾患であり、20 歳未満の馬の主な死亡原因であるため、注意が必要です。
馬にとってストレスの要因となるものの中にも、一般に馬にとって有害であるとは考えられていないものもあるため、慢性的なストレスを継続的に与えてしまっている事に人間が気づけていない事があります。
たとえば、運動は馬にとってストレスの多い出来事ですが、一般的には有益であると考えられています。
馬がその年齢と能力に応じた適切なトレーニングをし、適切な回復時間をとっている限り、受けるストレスは管理できます。
ただし、病気、跛行、異常気象などの慢性的なストレス要因は、管理がより困難になる場合がありますね。
ストレスホルモンが毎日継続的に排出されると、馬の健康に悪影響を与える可能性があります。
慢性的なストレスは以下の原因となる可能性があります。
- 減量
- 胃潰瘍
- 下痢
- 成長率の低下
- 生殖能力が低い
- 免疫力の低下
- 異常な行動の発現
これらはストレスが馬に及ぼす悪影響のほんの一部です。
馬が健康や幸福に悪影響を与えるストレスに苦しんでいると思われる場合は、常に獣医師に相談しましょう。診断検査を実施し、治療や対処をしていきます。
では馬のストレスを最適に管理するにはどうすればよいでしょうか?
馬のストレス管理に大切なこと「食事管理」
馬が日常生活でストレスを経験する事は完全になくすことは難しいです。
馬のストレスレベルを管理するためには、まず原因を特定し、ストレス要因を排除するか、その重症度を軽減するための措置をとっていくしかありません。
しかし、多くの状況ではストレス要因を取り除くことができず、馬には追加のサポートが必要になります。
馬のストレスをサポートするための非常に重要なアプローチのひとつは、食事管理です。
急性または慢性ストレスはさまざまな消化器疾患を引き起こしたり、馬の健康全般に影響を与える可能性があるため、馬が毎日の栄養要求量を満たしていることを確認することが極めて重要です。
清潔で新鮮な水がいつでも飲めるようにし、馬が適切な量の質の高い飼料(干し草/牧草)を確実に摂取できるようにし、飼料で満たされない栄養素の不足を埋めるために適切な強化飼料を与えましょう。
私たちの馬は毎日ストレスを感じています。ストレス要因の多くは急性かつ短期間の出来事です。
ただし、長期にわたる慢性的なものもあります。
どちらも馬の健康に影響を与える可能性があります。
しかし、注意深く管理し、適切な食事を与えることで、馬はストレスに強くなり、より健康で幸せな生活を送ることができるようになります。
馬にとってどんな事がストレスになるか、思いやり、配慮して、なるべくストレスフリーな生活を送らせてあげたいですね。