乗馬インストラクターがお伝えする、馬の話。
今回は、馬のさまざまな気持ちの見分け方を
*「耳と目」「鼻と口や息遣い」からわかること
*「尻尾と皮膚」「肢」からわかること
の2回に分けてご紹介します。
多くの方にとって、犬や猫などの愛玩動物と比べ、日本では馬は身近に感じる事がない動物だと思います。
よく、「この子(馬)は、今どう思っているんですか?」と聞かれることがあります。
毎日馬と一緒にいると、彼らの気持ちは大抵の事がわかるようになりますが、表情と言っても、そこには「ウマヅラ」があるだけで、分かりづらいかもしれません。
でも、実はとても感情表現が豊かな動物で、表情やしぐさからさまざまな感情を読み取る事ができます。
耳と目
馬は「耳」で周囲の様子を常に伺って情報収集をしています。
【 耳がリラックスしてやや横に向いている 】
馬が落ち着いている時です。
目は、少しトロンとしています。
【 耳を左右あちこちに動かしている 】
ソワソワしている時です。
目もキョロキョロします。
【 耳を一方向に向けてピンと立ててそちらをじっと見ている 】
馬が驚いている時です。
【 耳を後ろにパタンと伏せて目を吊り上げている 】
怒っています!
むやみに近づかないようにしましょう。
鼻・口・息遣い
馬は、人の約1000倍の嗅覚で、他の馬や人を認識します。
【 目を細めて鼻や頭を擦り付けてくるとき 】
甘えています。
鼻先を左右に動かして、人の服などをハムハムして遊んだりもします。
【 首を伸ばして鼻先も伸ばしているとき 】
気持ちが良い時です。
ブラッシングをしている時などに見られる表情です。
上唇と鼻を引き上げる表情は「馬が笑う」と形容されますが「フレーメン」という生理現象です。
異性の尿を嗅いでフェロモンの受容を行うときに見られる他、珍しい匂いを嗅いだときや、人や他の動物を認識したいときなどにも見られます。
馬は、鼻呼吸です。
健康でリラックスしているとき、呼吸音はほぼ聞こえません。
「フゥーッ」と鼻を大きく広げるのは、
驚いたとき・怖いときです。
「ブルルルルゥー」と息を吐くようにするのは、
びっくりした後に落ち着いたり、また単純にため息のようなものだったり、シチュエーションによって色々な理由があります。
よく観察していると、「はあー疲れたあー」と言っているとしか思えない事が良くあります。
口をクチャクチャと動かすのは、
「チューイングサイン」と言って、安心した時に行います。
仔馬が母馬のお乳を探して飲むときのしぐさの名残と言われています。
「フゥーッ」と驚いた後、人の声掛けなどで少し落ち着いて「ブルルルルゥー」と息を吐いてから、しばらくして「クチャクチャ」のチューイングサインが出たら、安心できたのかなと判断出来ます。
また、トレーニング時に人の指示や扶助(合図)に対して、納得した時にも見られるしぐさです。
次は、「尻尾と皮膚」「肢」からわかることです。