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ペット可賃貸オーナーのための共生経営ガイド ~犬と猫、そして人が快適に暮らせる物件づくり ~ 第7回 ペット共生物件の価値を高めるリフォーム&設備投資

入居者満足と資産価値アップを両立するために

ペット共生賃貸を運営していると、
「どこまで設備投資をすればいいのだろう?」
「リフォーム費用は回収できるの?」
そんな疑問を感じることがあるかもしれません。

ペット可物件は、やみくもにお金をかける必要はありません。
大切なのは、“入居者満足につながりやすいポイント”に絞って手を入れること
今回は、費用対効果を意識したリフォームと設備投資の考え方をご紹介します。

1. まずは「傷みやすい場所」から考える

ペット共生物件で消耗しやすいのは、
床・壁・建具といった日常的にペットが触れる場所です。

たとえば、
・滑りにくく、傷がつきにくい床材
・表面が強く、補修しやすい腰壁
・引っかき傷が目立ちにくいクロス

これらは、初期費用が多少かかっても、
原状回復コストの軽減につながるケースが多く、
結果的にオーナー側の負担を抑えてくれます。

「高級にする」のではなく、
**“長持ちする素材を選ぶ”**という視点がポイントです。


2. 小さな設備が「選ばれる理由」になる

大掛かりなリノベーションをしなくても、
入居者の満足度を高める設備はたくさんあります。

たとえば──
・玄関近くの足洗い場やシャワー水栓
・猫のいる家庭に喜ばれるキャットウォーク下地
・ペット用ゲートが設置しやすい間取りや建具

こうした設備は、
「ここまで考えてくれているんだ」という安心感につながり、
内見時の印象を大きく左右します。

特に競合物件が多いエリアでは、
“ちょっとした気配り”が決め手になることも少なくありません。


3. 音・におい対策は“見えない価値”

ペット共生物件で避けて通れないのが、
鳴き声や生活音、においの問題です。

・簡易的な防音対策
・換気性能の向上
・消臭効果のある内装材

これらは目に見えにくい部分ですが、
実は長期入居につながりやすい投資でもあります。

「住んでみたら思ったより快適だった」
この実感が、更新や口コミ評価に影響してくるのです。


4. “全部対応しない”という判断も大切

すべての入居者ニーズを満たそうとすると、
どうしてもコストが膨らみがちになります。

そこでおすすめなのが、
物件の方向性をあらかじめ決めること

・小型犬・猫向け
・単身〜DINKS向け
・落ち着いた飼い主層を想定

ターゲットを絞ることで、
「やる設備・やらない設備」が明確になり、
無理のない投資計画を立てやすくなります。


5. リフォームは“未来へのメッセージ”

ペット共生賃貸のリフォームは、
単なる修繕ではなく、
「この物件は、ペットとの暮らしを大切にしています」という
オーナーからのメッセージでもあります。

その姿勢は、
入居者のマナー意識を高め、
物件を大切に使ってもらうことにもつながります。

🐾まとめ

ペット共生物件の価値を高めるリフォームとは、
高額な設備投資ではなく、
**“入居者の暮らしを想像した一手”**の積み重ねです。

・傷みにくい素材選び
・小さくても実用的な設備
・快適さを支える音・におい対策

これらを意識することで、
入居者満足と資産価値アップは、無理なく両立できます。

次回は、
「ペット共生物件で“長く住んでもらう”ための入居者コミュニケーション」をテーマに
ペット共生物件だからこそ意識したい“長く住んでもらうための関わり方”について考えてみましょう。

吉川 奈美紀

吉川 奈美紀

投稿者の記事一覧

(きっかわ なみき)

ヨガ・ピラティス・空中ヨガ インストラクター
メディカルアロマアドバイザー

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