乗馬インストラクターがお伝えする馬のお話。
今回は馬の品種、「アラブ馬」と「ムスタング」についてご紹介します。
アラブ馬とは
アラブ馬は世界最古の馬の一つと考えられており、その歴史はアラビア砂漠に遡り、約4500年前から存在しています。
ベドウィン族が輸送、戦争、狩猟のために家畜化し、厳密な人工選択を経て、今日の品種が誕生したと考えられています。
8世紀のアラブ侵攻の頃からヨーロッパにはすでにその標本が存在していましたが、ヨーロッパ大陸や世界中に急速に広まり、他の品種の改良に利用される様になったのは18世紀になってからでした。
クハイラン、アビアン、サクラウィ、ハムダニ、ハドバンはアラブ馬の有名な血統として知られています。クハイランの強さと持久力、アビあんとサクラウィの美しさと優雅さ、ハムダニのスピードと敏捷性、ハドバンの多用途性など、それぞれに独自の特徴と能力があります。
ゴドルフィンとダーレーという有名な血統は18世紀初頭にイギリスに輸入されたアラブ種でイギリスのサラブレッド血統に最も影響したと考えらています。
・アラブ馬の姿
ほっそりとして力強く丈夫です。骨が密なので、長距離でも耐えられます。
毛色は通常、黒、鹿毛、灰色、栗毛です。窪んだ独特の頭部、広い額、大きな備考、突き出た目が特徴です。体はコンパクトで力強く、背は短く、胸郭は広く深く、尾は高く上がっていて、たてがみと尾は豊富です。
体高は145〜165cmです。
優れた持久力とスピードを発揮し、長時間にわたって驚異的なスピードを維持できるため、持久力競技に最適です。
・純血アラブ馬の行動と性格
知性と人間に対する親しみやすさが特徴です。非常に感受性が強く、乗り手やトレーナーと強い絆を築きますが、探訪に扱われることは好みません。学習能力が早く、適応力も非常に高いです。アラブ馬は忠誠心が強いことも知られており、勇敢で繊細、エネルギッシュです。
日本にもアラブ系の馬たちが暮らしています!乗馬クラブなどで探してみてくださいね。
「ムスタング」とは
ムスタングはマルーン馬としても知られ、その野生みと不屈の性格で最も優れた馬の一つです。
北米原産で、アメリカでは最もよく知られている品種です。
ムスタングはアメリカの牧草地に野生で生息していました。
一部の個体は飼育下で生きており、この地域の先住民族の一部では輸送手段や作業用の家畜として使われていましたが、ヨーロッパ人の植民地化後、16世紀にスペイン人がアメリカに持ち込んだアンダルシアン、アラブ、ヒスパニックの馬とこの地域の野生馬との交配によって現在のムスタングが誕生したと言われています。
歴史を通じてムスタングは農業の拡大と自然生息地の減少、さらに農作業のための捕獲の結果として脅威に晒され、20世紀にはムスタングは絶滅の危機に瀕していました。
このため、20世紀末には野生馬、および野生ロバ保護法が可決され、野生馬の保護と保全が可能になりました。今日ではアメリカ西部の牧草地にやく10万頭の野生馬が生息しており、野生馬がいる数少ない品種のひとつとなっています。
・ムスタングの姿
野生で生活しているため強く筋肉質で、飼い慣らすのが難しいです。
体高は140~150cmの中型で頭は小さく細く、目は大きいです。体は太っていて頑丈で強く抵抗力があります。目立つ臀部を持ち、首は短く筋肉質です。毛色は漆黒、栗毛、鹿毛など様々な色があります。
・ムスタングの行動と性格
ムスタングは独特な特徴を持っており、気性が激しく、耐久力とスピードに優れ、群れで生活することを好みます。
アメリカの牧草地で自由に生き抜く必要性と自由さから、非常に知的で、陽気で、活発で、独立心が強い馬です。また模範的で、忠実で、守ってくれる馬でもあります。逆に人間や見知らぬ人に対しては非常に不信感を抱き警戒心が強いです。
飼い慣らしたり訓練したりするには多くの時間、忍耐、練習や自信が必要な品種で馬術のトレーニングは困難です。
生き残るために生息する平原や牧草地に適応する必要があるため、長期間にわたって餌を食べず極端な気温や気候に耐えることができます。
都市化や建設などにより北米の自然生息地が減少し絶滅の危機に瀕しているため保護されていますが、繁殖や販売のためにハンターに捕獲されることで脅かされている側面もあります。繁殖力は強いですが、保護と保全活動を継続されることが不可欠です。
ムスタングは強い馬の象徴のようなイメージがありますが、皆さんはいかがですか?
いつか野生のムスタングに会いに行ってみたいです!