JPM「夢の賃貸住宅」
学生コンテスト
空き家×賃貸住宅×あなたのアイディア
=未来のまちづくり
「CATWALK HOUSE」
当サイトGORONの企画運営を行う株式会社アドバンスネットが特別協賛をしている『JPM「夢の賃貸住宅」学生コンテスト』
このコンテストは、大学生や高校生等の学生を対象に、募集テーマに沿った賃貸住宅についての“自由な発想と創意工夫に満ちた”アイディアの募集・表彰を行い、賃貸住宅を利用する機会の多い若い世代が考えるアイディアや要望を取り入れることで、賃貸住宅市場に新たな価値を創造し、これからの住環境の向上を目指すとともに、将来有望な若い世代の育成と支援を目的としています。
第5回目となる今回のテーマは、「空き家×賃貸住宅×あなたのアイディア=未来のまちづくり」
時代の変化とともに高齢化と過疎化 が進み、全国の空き家は約760万戸と、この20年で倍増しています。この「空き家」は、空き家・古家防犯・防災などの生活環境や景観に悪影響を及ぼし、地域の活力低下をもたらす等、深刻な問題となっています。放置された古民家や老朽家屋を、魅力ある“賃貸住宅”として再生し、豊かな住生活を支え、地域を活性化させる、そんな未来につながる「空き家再生」のアイディアを募集しました。
今回は、応募作品の中で、人とペットとの暮らし方の提案・企画性のある作品「CATWALK HOUSE」をご紹介をさせていただきます。
「CATWALK HOUSE」 猫の部屋の居候
普段、人が暮らしやすい部屋は、猫にとって暮らしやすい部屋なのだろうか?
ふとそんな疑問から、猫の気持ちになって考えたこの部屋では、猫に居場所を教えてもらいながら、人がまるで居候のように暮らす。
そんな新しい部屋のリノベーションの暮らしの提案です。
芝浦工業大学院建設工学専攻 原田真宏研究室修士2年 鈴木智紘さん
プランナー鈴木智紘さんに、作品についておうかがいしました。
── GORON:賃貸住宅市場の新たな価値観として、なぜペット共生を課題に選らんだのでしょうか?
鈴木さん:ペットとは、「家族のような存在」という言葉をよく耳にしますが、住空間は「人間の為」に作られている事に違和感を感じていました。そして、ペットに対し最も理解のある飼い手の方だからこそ可能な、一緒にペットと喜びを感じてもらえる家はどんな家か?を模索していました。
また、ペットには人を集める求心力があります。隣の部屋との関係が希薄な現代の住宅ではペットが人と人とをつなぐ存在となる願いを込めて、ペットとの共生を提案しました。
── GORON:プランをする中で、一番ポイント(大切に)とした部分は?
鈴木さん:「猫が楽しく遊びまわれる」「住空間としての快適さ」の2点を大切にしました。構成として、猫が楽しく遊びまわれる=キャットウォークを保ちながら、実際にそこに住まう事が出来るか=住空間としての快適さのバランス、を何度も試行錯誤しました。その結果、天井の少し低い寝室など、キャットウォークの上=猫の部屋だけでなく、キャットウォークの下=人の部屋も良い環境を創造できたと思います。
── GORON:猫と一緒に暮らされた、もしくは過ごした経験があると思うのですが、その時の印象的な体験や思い出を教えてください。
鈴木さん:猫や犬は家の中でも楽しそうに走っていますが、公園や原っぱにでた時に一番楽しそうに駆け回っていました。それを見た時に、猫にとって本当に必要なのは「猫じゃらし」の様なモノではなく、かけまわれる「原っぱ」の様な場所なのかもしれない、と感じました。この家は猫にとって、そういう意味で、一般的な住戸よりも「原っぱ」の感覚に近い家になっていると思います。
── GORON:「猫から見た部屋」と「人から見た部屋」の違いは、何でしょうか?
鈴木さん:「居場所」となるエリアを「部屋」とよんでいます。
「猫」にとっては高さ300mm程度あれば居場所=部屋となります。それに対し「人間」にとっては高さ1500mmなければ居場所となり得ません。一般的な住戸では人にとっての部屋=猫にとっての部屋となりますが、このキャットウォークの部屋では、人にとっての部屋<猫にとっての部屋となる。つまり猫の居場所がたくさんある部屋なのです。
── GORON:コンセプト説明3「ペット(猫)を中心としたコミュニティーの生成」で「1F ネコフロア」「2F イヌフロア」とありますが、ここに意図はありますか?
鈴木さん:今回のコンペではある1室だけが敷地対象でしたが、ペットを中心とした住まいは複数の人や動物が関係してゆく所に豊かさが生まれてゆきます。そこで、部屋・フロアを超えた広がりを考えていました。
動物の中でも犬と猫は仲良く遊んでいる光景を何度も見たことがあります。ケンカも含めですが(笑)共生可能な組み合わせなのだなと感じてました。
犬のフロアは猫だけでなくそういった広がりを持つ、プロットタイプの1つとして提案しています。
── GORON:どのような居住者をターゲットにしていますか?(ディンクス・単身・ファミリー・年代・性別など)
鈴木さん:居住者は単身者の女性を想定してプランニングを行っています。近年単身者でペットを飼う人が増加しているので、その層をターゲットにしています。なぜペットを飼うか、それは単身者つまり1人暮らしの寂しさを埋めてくれる存在だからです。これは、裏を返すと人は根底でコミュニケーションを求めている現れなのでしょう。
また、女性は新しいものに敏感です。TwitterやFacebookなどで、この暮らしを紹介する事でより多くの人に知ってもらうそんな家になったらよいです。
── GORON:人がテーブルのテラス側に行くときは、階段をつかい天板の上を抜けていくのでしょうか?
鈴木さん:はい、天板の上を超えてゆきます。
ここの天板は机としてだけでなく、もう1つ上の天板へのアプローチの為の場所の2つの重要な意味があります。
── GORON:今まで賃貸で暮らしたことがあれば、その時の体験や感じたことを教えてください。
鈴木さん:賃貸で暮らした事はないのですが、友達の家へ訪れる中で感じた事がありました。それはどこもほとんど同じであるという事です。
僕は、建築はプレゼンだと考えています。
プレゼントは相手の事を考え、相手にとって何がよいか?相手の立場にたって、試行錯誤の末に、生み出されるものがプレゼントです。果たしてほとんど同じ住戸は良きプレゼントでしょうか?
このキャットウォークハウスは住まい手と猫の事を考えた、良きプレゼントとなっていいるのです。
── GORON:ペットと賃貸の現状について、どのようなことを思われますか?
鈴木さん:多様な生活やスタイルが生まれてい現代では、トラブル等からペットはマイナスに捉えられる事が多い様に感じます。しかし、今回は「ペット×建築」という組み合わせの中から、新たな価値が創造できました。
このように分野の垣根をこえて考えることは、新たなブランディングの創造を可能にする1つの光なのでしょう。現実を「悲劇」と捉えるか、「喜劇」と捉えるかで見えてくる世界は変わります。僕は現実は「喜劇」、まだまだ良くなると捉えています。このように「発想の転換」で現実をプラスに変換していく事が重要だと考えます。
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GORON 吉川奈美紀
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