― 安心して運営できる“ペット共生物件”のために ―

「ペット可物件にしたいけど、トラブルが心配で踏み切れない」
そう感じているオーナーさんは多いのではないでしょうか。
確かに、ペットと暮らす入居者が増える一方で、
「傷つけられた」「臭いが残った」「鳴き声で苦情が来た」といった話も耳にします。
でも実は――これらの多くは、最初のルールづくりで防げるものです。
つまり、「ペット可物件はトラブルが起きやすい」というよりも、
「ルールが曖昧な物件ほどトラブルが起きやすい」のです。
よくあるトラブルと、その防ぎ方
ペット可賃貸でよく見られるトラブルには、いくつかのパターンがあります。
代表的なものと、その防止策を整理してみましょう。
| よくあるトラブル | 予防のポイント |
|---|---|
| 壁や床の傷、臭い | ペット対応素材(腰壁・耐傷フローリング・消臭クロス)を導入する |
| 鳴き声やにおいの苦情 | 多頭飼い制限・しつけ確認・換気計画を見直す |
| 共用部でのマナー | エレベーター・廊下・ゴミ捨て場などでのルールを明記 |
| 原状回復トラブル | 「ペット特約」で範囲を明確にしておく |
トラブルのほとんどは、設備と契約、そして入居者への説明で予防できます。
契約で押さえておきたい3つのポイント
① ペット飼育同意書の作成
ペットを飼う入居者には、まず「ペット飼育同意書」を交わしましょう。
そこには、
-
飼育する動物の種類・数・名前
-
鳴き声・臭いなどへの配慮義務
-
共用部での行動ルール
などを明記します。
同意書があることで、入居者に“責任を持って飼う”意識が生まれるのです。
② ペット特約で原状回復を明確にする
退去時に揉めやすいのが、壁や床の損傷に関する費用負担。
ここは「ペット特約」で明文化しておくことが大切です。
たとえば、
「ペットによる汚損・損傷が確認された場合は、借主の負担で修繕を行う」
「敷金に加え、ペット飼育時は+1ヶ月分を預かる」
など、トラブルを想定した記載を加えておくと安心です。
③ 飼育ルールブックを共有する
小さな冊子やPDFなどで「飼育ルール」をまとめておくと効果的です。
内容としては、
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鳴き声・においへの配慮
-
糞尿処理・ごみの出し方
-
共用部での移動ルール(リード着用・抱っこなど)
-
他の住民への配慮(夜間の散歩、窓開け時の注意)
「細かい」と思われるかもしれませんが、明文化しておくことで
入居者も“安心して飼える”環境になるのです。
トラブルを減らす“3つのコミュニケーション”
契約書だけでなく、日常のコミュニケーションも欠かせません。
-
入居前の面談
→ 飼育状況(犬種・性格・多頭数など)を確認。 -
入居後の定期フォロー
→ 物件点検やアンケートなどで、小さな問題を早めに把握。 -
管理会社との連携
→ 苦情対応やルール違反があった場合に迅速に共有できる体制を整える。
“ペット可”にすることは、“信頼できる入居者を選ぶ”ことでもあります。
入居前の段階で丁寧な対話をするだけで、トラブルの発生率は大きく下がります。
ルールは「縛る」ためではなく「守る」ために
ルールや特約というと、「縛りを増やす」ように感じるかもしれません。
でも実際はその逆で、きちんと決めておくことで、
オーナーも入居者もお互いに安心して暮らせるようになります。
ペットも人も、気持ちよく共に過ごせる空間を作ること。
それが、これからの“ペット共生賃貸”の基本です。

次回予告
次回は、実際に成果を上げている物件を紹介しながら、
**「成功しているペット共生賃貸の実例と収益効果」**をテーマにお届けします。
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どんなリフォームで差別化できるのか
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家賃アップにつながる設備の工夫とは?
実際の数字や事例を交えながら、成功のヒントを探っていきましょう。






























