一人暮らしでペットと暮らす
2.一人暮らし飼い主さんの物件選び
普通の一人暮らしとペットがいる一人暮らしとでは、住まい選びにどのような違いがあるでしょうか。かわいいペットとの生活を、より無理なく長く送るために、その第一歩となる住まい選びのポイントを考えてみましょう。
まず大きな違いとして、ペットと一緒に住むためにはペットの飼育が認められている住まいを選ばなくてはいけません。近年はペット可物件が増え、賃貸物件の探し方もペット飼育の可否をインターネット検索サイトの条件項目に入れればよく、普通の部屋探しと変わりません。
しかしその際に考慮したい点があります。ペット可の物件というのもすべて同じではなく、大きく分けて3種類の違いがあるということです。
まず、ペット応相談の物件。元々はペット飼育可物件ではなかったのに、途中からペット可に変わった物件も含まれます。このような場合は、物件の造りや機能性としてペット飼育に関して特に考慮されていないことになります。また、ペットを飼っていない居住者の比率も高くなるでしょう。
次に、最初からペット可物件として建てられているが、前者同様、特別な機能や付加価値はない物件です。
最後は、一番理想的な物件で、ペットと人との生活を最初から考慮して設計、運営管理されているペット共生型の物件です。このような物件では、ペットを飼っている居住者の比率も高くなり、安心感が得られます。何より、ドッグランやペットの洗い場など設備が整っており、実用的な工夫や配慮が行き届いていて便利です。
物件探しにおいては通常、賃料と立地が重要なポイントとなってきます。それらは相関関係にあり、決して分けては考えられませんが、まずは賃料以外の点、「一人でペットの世話をする」という視点から、立地について考えておきたいと思います。
飼い主さんが社会人の場合、まず一番に考慮すべきことは職場との距離ではないでしょうか。多忙な日常で通勤時間が長いと、その分ペットの散歩を含む、世話に当てる時間がつくりづらくなります。ペットの具合が悪くなれば、病院へ連れて行ったり看病したりと、早く自宅に帰る必要が出てくるかもしれません。そのため、職場、ペットを散歩させる場所、動物病院、ペットホテルなどは自宅と近ければ近いほど、飼い主さん自身の時間と労力的負担は減ります。
犬や猫など、寿命が10数年はあるペットとの生活は長丁場です。だからこそ、しっかりペース配分をして、早々に疲れ切って面倒が見られなくなるようなことのないようにしたいものです。
近年は、ペット可物件の需要が増えてきたことで、先述したような、途中でペット可物件に変えた物件も増え、一概にペット可物件のすべてが高めであるとは言えません。
ただし、一般の物件よりペット可物件でほぼ確実に高くなるものは敷金です。首都圏のペット可物件の敷金では、賃料の0~1か月分というのが全体の12%程度で、2か月前後~3か月未満が8割超を占めています。3か月以上という物件も数%あります。
この理由は、入居者間の諸トラブルや退去後の部屋のクリーニング、ペットによる部屋の損傷の修復に手間と費用が掛かるからです。
契約時に特約事項がある場合もあり、事前にしっかり確認しておきたいものです。クリーニングや修復に関する費用面だけではなく、近隣住民に対してや建物共有スペースでの迷惑行為、契約内容に違反する行為についての罰則が記載されていることもあります。
もし万が一何があった場合にも対応して貰えるという安心が含まれているから高めになっているわけですね。その内容は各社さまざまですので、内容をよく確認しましょう。
ペット可物件では、禁止事項を詳細に示し、厳しいルールを定めているところと、そうではないところがあります。いずれの場合でも、共有部分については特に常識ある行動を心掛けることが基本です。
そして部屋選びの際、ルールや罰則が厳しい物件への入居には躊躇してしまうかもしれませんが、逆に大きな利点もあります。自分だけでなく、他の入居者もまたしっかりルールを守ってくれ、相互トラブルや不快な思いをすることが避けやすいということです。
逆にルールや罰則のゆるい物件では、ルーズな飼い主が増えてしまい、他の入居者から迷惑を被り、自分自身が悩まされる可能性が高くなるということです。
他の入居者が、きちんとルールを守るモラルの高い人たちであるかどうかを見極めておくのも、ペットと快適に暮らすための大切なポイントだと言えるでしょう。どちらかと言えば、大勢の入居者が住む大規模物件よりは、入居者が少な目の小規模物件のほうが互いに抑止力が効くせいか、悪質なマナー違反を行う人は減る傾向にあるようです。
家賃の予算には誰しも限りがあります。しかし、賃料の安さだけで住まいを選ぶのではなく、トラブルや負担のより少ない快適な生活をペットと送るために、いろいろな角度で判断し選択したいものですね。
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