アメリカの動物事情
第5回 成犬成猫の譲渡
マイクロチップ、迷子札の普及
マイクロチップ、迷子札の普及
犬は群れで暮らす動物であることから、意思の疎通や感情の理解といったコミュニケーション能力が発達しています。 猫は明確な群れを作るわけではありませんが、ゆるやかな集団の中で独自のコミュニケーションをとっています。
成犬や成猫のメリットとして「社会化やしつけがすでにされている」「性格や体型、運動量が把握できている」「人に慣れている」「健康状態が把握されている」「飼い主さんより寿命が短い」「他の犬や猫と上手くやれるかあらかじめ知ることが出来る」などたくさんあります。また成犬や成猫になるとペットショップやブリーダーさんでと言うわけにはなかなかいかないので、必然的にシェルターやアニマルレスキューからの譲渡になります。すると動物を家に迎えると同時に動物愛護活動にも一役かっていると言う社会貢献や、そして避妊や去勢、各種予防接種やマイクロチップなど子犬や子猫に必要とされる初期投資が、シェルターで既にされていると言うメリットがあります。
そのような成犬性猫の理点をシェルターやアニマルレスキューグループが頑張って周知した甲斐もあると思います。シェルターに訪れる譲渡希望者には「ハイパーの時期(大体2歳くらい)が過ぎた犬がいい」「体のサイズが判っている犬がいい」「トイレトレーニングが住んでいる猫がいい」「先住猫がいるので他の猫と暮らせる子がいい」と大人の犬猫が良いと言う希望者の方も多いです。
特にお年寄りの方は「自分が確実に見取ってやることが出来る老猫が」「手のかからない老犬がいい」とシニア動物の譲渡希望の傾向が強いです。飼い主さんが若くても先住ペットが老齢の場合も、先住ペットの環境が新しい子が増えることで激変しない様に、同じような生活パターンのシニア動物や性格が穏やかで運動量の少ない子を譲渡したがる方が多くいらっしゃいます。そのような年齢事情で言うと子供さんがいる家庭でも「子供に手がかかるから性格的に落ち着いた子がいい」と大人の犬や猫を探しているご家族も多く、シェルターやアニマルレスキューグループの中には小さな子供のいる家庭には傷害事件を防いだり、ペットが大きくなると世話を見ない可能性を懸念して成犬や成猫の譲渡に限定しているところもあります。
アメリカのシェルターでは日本と違い、大人の犬猫であっても子犬や子猫と変わりなく、新しい家を見つけるチャンスがあるように思います。
全米では避妊/虚勢のほかに、マイクロチップの普及が殺処分ゼロへの一番の近道だと認識されています。
そのため大部分のアメリカのシェルターでは、譲渡動物へのマイクロチップの装着(マイクロチップの代わりに刺青を入れる所もあります)が義務づけられています。
(マイクロチップは米粒ほどの小さな大きさで、動物の母親が子どもを運ぶ際にくわえる首の皮下の下に装着するため犬や猫には痛みが伴わず生後2ヶ月の動物に装着することが出来ます)
迷い犬の保護数がマイクロチップの導入により減少傾向にあるのを受け、装着を導入するレスキューも年々増加。ペットホテルや動物病院によっては、利用時にマイクロチップの装着を条件にしているところが少なくなくありません。また、スーパーマーケットや街角に迷子札作成機が設置されているところもあり、それを利用すれば、1分足らずで可愛いデザインの迷子札を作ることができます(ひとつ100円~200円程度)。このような生活環境が、マイクロチップと迷子札の普及に一役買っているようです。
飼い犬や飼い猫の迷子は、放浪している時間が長いと痩せて首輪が抜け落ちてしまうため、アメリカでは迷子札とマイクロチップはセットでぺットに装着するものとして考えられています。
マイクロチップを入れるための料金は、だいたい2,000円~3,000円程度です。
次回は、
刑務所や少年院でのドッグトレーニングと、アメリカのペットストア(ペットショップ)について
【Dear Paws】
「アメリカの動物事情」より 2012/12/14引用
【注意】このテキストは2010年9月の情報です。告知なく変更や訂正をする事があります。また、文中アメリカと表現していますが対象はメリーランド州に限定しています。アメリカの動物に対する取り組みや考え方は州法や自治体、生活形態により違いがあるため、内容が全米に共通している訳ではありません。
Copyright © GORON by ペット共生アドバンスネット All rights reserved.