乗馬インストラクターがお伝えする馬のお話。
今回は馬と猫の声のトーンが伝える安心感のお話です。
猫に話しかけるとき、ついつい優しい声になっていませんか?
「おいで〜」「いいこだね〜」と自然と声が柔らかくなるのは、なんとなく猫の反応を見ながら無意識に調整しているからかもしれません。
実は、馬も“声のトーン”にとても敏感な動物です。
普段なじみのない方には少し意外かもしれませんが、馬と猫は、音に対する反応に共通点があるんです。
■ 馬は“高音”に驚きやすく、“低音”に安心する
馬はとても耳のいい動物です。
遠くの音や、風の音、人の話し声など、細かな変化にも耳をピクピクと動かして反応します。
特に「高い音」や「突然の大きな音」には敏感で、ピクッと反応したり、時には驚いて飛びのくような動作をすることも。
逆に、落ち着いた低い声で話しかけると、馬は安心しやすいと言われています。
乗馬の現場では、馬をなだめるときに「ほー、ほー」と低くゆっくり声をかけることが多いのですが、これはまさにそのためです。
■ 猫にも“声のトーン”が大事?
猫もまた、音の高さやテンポにとても敏感です。
大きな声や甲高い声には警戒し、小さくて柔らかい声にはリラックスする傾向があります。
よく観察していると、猫は「相手が怒っているのか、甘えているのか」を、声の質感だけで感じ取っているように見えることがありますよね。
これは、猫が“空気を読むのがうまい”というよりも、感覚的に音の印象を掴む力があるということかもしれません。
■ 声が伝えるのは「意味」よりも「雰囲気」
人はつい、「言葉の意味」で動物に何かを伝えたくなってしまいます。
でも実は、馬も猫も「どんな言葉を使うか」よりも、「どういうトーンで発しているか」を重視していることが多いのです。
たとえば、同じ「おいで」でも、緊張した声で言うと猫は来なかったり、馬が耳を伏せたりすることがあります。
つまり、声そのものが“エネルギー”として伝わっているという感覚。
これは、動物との関係性において、とても大事なヒントになるかもしれません。
■ 馬に話しかけることの意味
乗馬のレッスン中や、馬に接するときに「話しかけるなんて意味ないでしょ?」と思われる方もいるかもしれません。
でも、実際に馬に関わっている人の多くは、自然と馬に声をかけています。
「大丈夫だよ」「よしよし、いい子」
言葉の内容以上に、そのときの空気感や、こちらの気持ちが伝わっているという実感があるからです。
■ 最後に、猫と馬の“距離感”の共通点

猫と馬は、べたべたと甘えてくるタイプではないけれど、こちらの気持ちにとても敏感です。
言葉ではなく、雰囲気を感じ取る力があるからこそ、“どんなふうに関わるか”がすごく大切な動物なのかもしれません。
高い声でテンション高めに近づくよりも、落ち着いた声でそっと寄り添う。
それだけで、猫も馬も、少しだけ心をひらいてくれるような気がします。





























