進由紀

馬と猫 ~意外な共通点とびっくりする違い~

乗馬インストラクターがお伝えする馬のお話。
今回は馬と猫のお話。馬と猫はマイペースな性格と、驚きの身体能力という共通点があります。
犬のように人懐っこくはないものの、じわじわと距離を縮めてくれる存在。
そんな「マイペースさ」を持つ馬と猫には、意外な共通点が多くあります。
一方で、体のつくりや能力には大きな違いもあり、知れば知るほど面白いのです。
乗馬クラブには必ずと言っていいほど猫も暮らしていますよね。猫は小さくても肉食系。馬は大きいけど草食系。根本的な生物学的な違いがあるのですが、どんな共通点があるか、探ってみました。

 性格・習性の共通点

  1. マイペース
    人間が急かしても、やる気スイッチが入らなければ動きません。
    逆に、自分から動きたいときの集中力は見事です。
  2. 空間感覚が鋭い
    人や物との距離感を正確に測ります。パーソナルスペースはとても大切です。
  3. 観察好き
    じっと景色や人を見ている時間が長く、特に初対面の相手はよく観察します。
  4. 触られたいときとそうでないときがはっきり
    甘えたいタイミングは自分で決めます。そこに無理やり入ると、スッと距離を取るのもよく似ています。
  5. 信頼関係はゆっくり築く
    一気に仲良くはならず、少しずつ距離を縮めて時間をかけて心を開きます。

身体能力・感覚の比較

項目

平均体重

約400〜600kg

約3〜5kg

視野

約350度(両目で見える範囲は約65度)

約200度(両目で見える範囲は約140度)

視力(色)

青・緑は識別可、赤は苦手

青・緑・黄色は識別可、赤は苦手

聴力

約55Hz〜33kHz

約48Hz〜85kHz(高音に強い)

脳の重さ

約500〜700g

約25〜30g

ジャンプ力

約1.8m以上(オリンピック級)

約2m(体高の5〜6倍)

寿命

平均25〜30年

平均15〜20年(長寿は25歳以上)

 

ジャンプ力の秘密

馬の1.8m以上という高さは、オリンピック級の障害飛越の記録です。
普段の乗馬クラブでは60〜90cm程度が多く、1.2m超えでもかなりクラスです。
しかしトップレベルの競技馬は、人の背丈以上の障害を軽々と飛び越えます。

一方、猫の2mジャンプは体高約30cmの6倍以上にあたります。
人間に置き換えると、身長170cmの人が約10mの壁を飛び越える計算になります。
小さな体に秘められた筋肉の瞬発力とバネの強さは、まさにアスリート級です。

似ているからこそ、見えてくること

マイペースで、人間に合わせすぎず、それでいてふっと寄り添ってくれる瞬間があります。
こうした距離感の生きものと暮らすと、相手の機嫌や表情の変化に敏感になります。

馬と猫。
体の大きさも暮らす場所も異なりますが、「自分のペースで生きる」という姿勢はどちらも同じです。
似ているところも、違っているところも、どちらも魅力的ですよね。

 

進 由紀

進 由紀

投稿者の記事一覧

(すすむ ゆき)
乗馬インストラクター
全国乗馬倶楽部振興協会認定指導者

2002年より乗馬クラブでインストラクターとして働く

「馬は自分を映す鏡」の様な存在です。
自分の行動に対しての答えを、いつも分かりやすく返してくれます。
だからこそ、いつでも正直に、真剣に、謙虚に、馬と向き合う事が出来ます。
それは時に苦しいけれど、そんな時にもポッと何か閃きをくれたりする。
馬はとても賢くて、優しくて、そしてどんな馬もみな、真面目で頑張り屋です。

出会った馬には、幸せを感じながら人間と仕事をしてもらえるように。
また馬の素晴らしさを一人でも多くの方に知って頂けるように。

馬と共に成長し、人々に貢献する事を目標に、日々奮闘しています。

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