しつけ・ケア

馬のためのメディカルアロマセラピー《 6 》馬が怖がっている時におすすめな精油

乗馬インストラクターがお伝えする馬のお話。
今回は馬のためのアロマセラピーの第6弾です。

よくある困った場面、馬が怖がっている時におすすめの精油をヒトへの効果も併せて掘り下げてご紹介します。
馬のためのアロマは、ヒトも同時に精油の恩恵に与れる所がとても良いです。
馬へのケアと同時に一緒に自分も癒されてくださいね。

【 馬がもしくはライダーが怖がっている時 】

おすすめな精油「ジャスミン」

インド北西部が原産地で花約1トンから約1kgしか抽出できない貴重な精油です。
甘く濃厚でエキゾチックな香りが特長のジャスミンは、少量で不安感や孤独感を静め、ポジティブでリラックスした気分にさせてくれる香りです。
クレオパトラが愛した香りとしても有名で、何千年も前から“花の精油の王”として珍重されてきました。インドやアラビアでは昔から媚薬としても使われていました。
月夜の晩にまるで月光の様に輝くのでアラビア語で「ヤスミン=小さな月光」という意味の名前がつけられたそうです。
夜中に香り、太陽光が当たると香りが揮発してしまうため、収穫は早朝に行われます。

*心への働き

「鎮静」「高揚」「抗うつ」「神経強壮作用」など
不安感や孤独感を静め、ポジティブでリラックスした気分にしてくれます。
リラックス作用と高揚作用を併せ持つことから、催淫効果が高く、そのエキゾチックな香りは、ゆったりとして喜びに満ちた雰囲気を作り出してくれます。

*からだへの働き

「鎮痙」「鎮痛」「通経」「分娩促進」「細胞促進作用」など
鎮痙、鎮痛作用が期待できるので、月経時の不快感や腹痛を軽減したり、分娩時の痛みも和らげてくれると言われています。
また、細胞促進作用があるとされ、乾燥、炎症したお肌のスキンケア(アンチエイジング)やヘアケアにも役立ち、特にストレスを受けているときの症状に効果的でしょう。

首筋やその馬が触られるのが好きな場所に、キャリアオイルに希釈してゆっくりマッサージをしたり、厩舎にぢディフューズするのも良いと思います。

おすすめな精油「ローズ」

甘く華やかで優雅なバラの花の香りのローズ精油は、エレガントで素晴らしい香りと希少性から「香りの女王」と呼ばれています。
バラの花の種類は品種改良が進み、数万種類あると言われており、バラの産地などの違いでも香りが若干異なることがあります。
一般的にローズオットーにダマスクローズが、ローズアブソリュートにキャベジローズが使用されています。ローズ精油は心と身体の両方からアプローチし、女性特有の不調や美容にとても効果を発揮してくれます。
ローズと人類の関わりは紀元前3000年頃に粘土板に記述された古代メゾポタミアの”ギルガメッシュ叙事詩”に遡ります。
古代ギリシャ、ローマ、エジプト、イスラム世界などローズに関する神話が多く存在し、実際に儀式用、薬用、香料、化粧用に多用されてきました。
水蒸気蒸留法は10世紀のアラブの医師アウィケンナが発明したとされていますが、ローズはこれで最初に蒸留するのに使用された植物であると言われています。

*心への働き

「鎮静」「抗うつ」など
華やかで優雅な香りは、心を明るく高揚させ、神経の緊張やストレスを和らげてくれます。
自信を無くしてしまった際に自分を肯定でき、幸福感を抱かせてくれます。
また、ローズの香りは脳内ホルモンのオキシトシンの分泌を促してくれると言われています。
オキシトシンは「幸せホルモン」とも言われ、自律神経のバランスを整えたり、ストレスを緩和し気持ちをポジティブする働きがあります。

*からだへの働き

「強壮」「女性ホルモン調整」「抗炎症」「細胞促進」など
女性ホルモンのバランスを整える作用があるとされ、月経に関わる心身両面のケアや、更年期の不調、産後の精神状態の改善などにも良いとされています。またスキンケアにも良く、抗炎症作用や細胞促進作用があることから、お肌の炎症を抑えターンオーバーを促し、老化・乾燥へのアプローチもできます。女性美容のアンチエイジングにとても最適な精油でもあります。

*くらしに気軽に取り入れる

毎日のストレスケアにおすすめです。
ディフューザーで芳香させたり、アロマスプレーなどで手軽に香りを嗅ぐ事でリラックスでき心を前向きにしてくれます。

おすすめな精油「フランキンセンス」

フランキンセンスは、神仏への捧げものとして、古くから宗教儀式などで薫香として使用されてきました。
スパイシーで奥深いウッディ調の香りは、イライラなど心の乱れを静め、呼吸を深くしてゆったりした気分へもたらしてくれます。
また樹脂から採れるこの精油は「若返りのオイル」とも言われ、乾燥や肌荒れなどの皮膚トラブルにも優れた効果を発揮するため、エイジングケアにおすすめの精油です。

*心への働き

「鎮静」「抗うつ」など
鎮静作用があるフランキンセンスは、イライラなど心の乱れを静め、落ち着きを取り戻してくれます。
呼吸を深くしてくれるので、心を静かに集中させてくれます。
瞑想やヨガの時にアロマディフューザーなどを使って香りを拡散させて使うと良いでしょう。

*からだへの働き

「皮膚再生」「抗炎症」「収れん」「去痰」など
『若返りのオイル』とも呼ばれているフランキンセンスは、老化した肌や、乾燥、肌荒れなどの皮膚トラブルにも優れた効果を発揮するため、エイジングケアとして役立ちます。
ホホバオイルなどの植物油に1%濃度以下で希釈してマッサージオイルとして使うのもおすすめです。
また咳や気管支の炎症を和らげる作用も期待できるので、のどの痛みを感じる時にマグカップや洗面器にお湯をはってフランキンセンスを1~2滴たらし顔を近づけて湯気を吸うように、深くゆっくりと呼吸してみるのも良いでしょう。


ジャスミン、ローズ、フランキンセンスはどれも沈静効果の強い香りです。
しかし、ジャスミンとローズはとても高価なので日常的に使うことが難しければ、フランキンセンス、また真正ラベンダーもおすすめです。
馬の場合は、マッサージするにしても面積がヒトよりだいぶ広いですからね。
馬だけでなく、馬に乗る前に緊張をほぐしたい時などにも使ってみてください。

 

馬のためのメディカルアロマセラピー《 5 》実際につかってみましょう!

進 由紀

進 由紀

投稿者の記事一覧

(すすむ ゆき)
乗馬インストラクター
全国乗馬倶楽部振興協会認定指導者

2002年より乗馬クラブでインストラクターとして働く

「馬は自分を映す鏡」の様な存在です。
自分の行動に対しての答えを、いつも分かりやすく返してくれます。
だからこそ、いつでも正直に、真剣に、謙虚に、馬と向き合う事が出来ます。
それは時に苦しいけれど、そんな時にもポッと何か閃きをくれたりする。
馬はとても賢くて、優しくて、そしてどんな馬もみな、真面目で頑張り屋です。

出会った馬には、幸せを感じながら人間と仕事をしてもらえるように。
また馬の素晴らしさを一人でも多くの方に知って頂けるように。

馬と共に成長し、人々に貢献する事を目標に、日々奮闘しています。

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