約2年半前の東日本大震災。健常者にとっても逃げるのが精いっぱいな状況の中で、障害者のある方々の不安は、どんなに大きかったことでしょう。目が不自由な人は、一人では逃げられず、避難するにも周辺の状況が一変してしまったので、近隣の人や避難の際に遭遇した人に助けられて避難をしたそうです。

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アニマルライツ

盲導犬を支援しよう ~第1回 震災と盲導犬~


    


 約2年半前の東日本大震災。健常者にとっても逃げるのが精いっぱいな状況の中で、障害者のある方々の不安は、どんなに大きかったことでしょう。目が不自由な人は、一人では逃げられず、避難するにも周辺の状況が一変してしまったので、近隣の人や避難の際に遭遇した人に助けられて避難をしたそうです。

避難所のイメージ 避難所においては、慣れない場所では動くことができず、「トイレ」へ行くにも誰かに手引きのお願いをしなくてはなりませんでした。また、食事や支援物資、催しなどの生活の情報が、避難所に貼り出されましたが、「張り紙」が読めないために、生活において必要な情報が得られませんでした。そのような避難所生活は、大変過酷な状況だったことが想像できます。

 『「移動と情報の不自由」を切実に感じ、目が見えないことは災害時には大きなハンディキャップであることを感じた』と被災した方は語っています。

阪神淡路大震災時、補助犬は避難所に入れなかった

阪神淡路大震災のイメージ 目が不自由な人は、震災という非常事態の時に、いつも一緒に暮らしている盲導犬がそばにいてくれたら、どんなに安心でしょう。

 18年前の1995年の阪神淡路大震災の時、自宅が全壊した目が不自由な人が、盲導犬と一緒に避難所に避難した際に、「こんな大きな犬を連れてきて」と周囲から苦情が出て、その日のうちに盲導犬は県外の訓練所に移ったという出来事がありました。当時は、周りの人に“盲導犬は、目が不自由な人にとってペットではなく、介助をしてくれる大切なパートナー”ということが、理解されていなかったのかもしれません。

 被害の大きい地域に住んでいる人のほとんどが、避難生活をしなければならず、「避難所で盲導犬を同伴することへの周囲の人たちの理解が得られない」、「犬の食餌・排泄・手入れなどの世話ができない」といった事情もあり、多くの人は盲導犬を訓練施設に預けざるを得ませんでした。しかし一方で、阪神淡路大震災をきっかけに、多くのボランティアが被災地に駆けつけ、「ボランティア活動」が社会的に認知されはじめました。また、行政や多くの人が、高齢者や心身に障害を持つ人たちを「災害弱者」として考えるようになったのもこの時からです。

ペット同伴は署名活動の成果が現代になって徐々に現れる

 また、バラエティ番組『ペット大集合!ポチたま』の松本秀樹さんは、この震災の時から、避難所や仮設住宅の一部をペット同伴可にしてもらえるように、環境省宛てに「日本でのペット飼育率(約25%)と同等のペット可避難所や仮設住宅を確保する署名活動」を始めました。長年共に暮らしているペットは家族同然なので、災害等の非常事態においても、一緒に避難したいと思う人は多いはずです。しかし、当時の状況は、飼っている犬や猫を避難所に一緒に連れて行くことは原則的に不可能でした。

 現在では、先述の署名活動によって、少しずつ改善されてきています。2012年9月に改正された「動物の愛護及び管理に関する法律(動愛法)」において、各自治体の防災計画に、動物に関する取り扱いを定めることが明記されました。例えば、東京都では、平成 24 年 11 月に「東京都地域防災計画」を修正し、「飼養動物の同行避難等に関する区市町村の受入体制等の整備支援」を明記しています。具体的には、「区市町村が避難所等に設置した動物の飼養場所において、飼い主とともに同行避難した動物に関し、区市町村と協力して、以下の取組を行い、適正飼養を指導 」として、①各地域の被害状況、避難所での動物飼養状況の把握及び資材の提供、獣医師の派遣等、②避難所から保護施設への動物の受入れ及び譲渡等の調整、③他県市への連絡調整及び要請 を挙げています。

「東京都地域防災計画」修正の主な内容:http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/kiban/shisaku/2013bunyabetsu.files/10.pdf

 災害時の動物の取り扱いについては、各自治体の防災計画のHPを参考にして下さい。

 

避難所での補助犬受け入れの法制化はまだ整っていない

震災にあった盲導犬クララ(双葉社,2005年)

 阪神淡路大震災後の2003年に、「身体障害者補助犬法(後述)」ができ、公共施設での盲導犬の受け入れが義務付けられました。2004年10月の新潟県中越地震では、被災した中村良子さんが、半壊した自宅を出て、盲導犬と一緒に避難所で暮らしました。その体験を書いた『震災にあった盲導犬クララ』(双葉社,2005年)では、避難所において周囲から暖かく受け入れられた様子が述べられています。中村さんは、「行政の理解はもちろん重要だが、使用者も地域の人が受け入れることができるよう、ペアの姿を多くの人に見せ、交流する努力が必要」とおっしゃっています。

 避難所での盲導犬などの補助犬の受け入れについては、まだほとんどの市町村の条例で定められていない状況です。先駆的な例としては、2012年から滋賀県近江八幡市の「避難所運営マニュアル」の中で、避難所においての盲導犬などの補助犬の同伴受け入れを明文化しました。防災対策の一環として、今後このような取り組みを行う自治体が増えてくることを願います。


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