進由紀

海外の馬は外で暮らす?放牧が主流な理由と日本との違い

乗馬インストラクターがお伝えする馬のお話。
今回は「海外の馬の暮らし方」についてです。

馬といえば、厩舎で過ごしているイメージを持つ方も多いのではないでしょうか。
決まった時間に外へ出て運動し、また馬房に戻る——日本の乗馬クラブでは一般的なスタイルです。

では、海外ではどうなのでしょうか。

実は地域によって違いはありますが、
「ほとんどの時間を外で過ごす」飼養スタイルが主流の国も多く存在します。

海外では馬が外で暮らすのが一般的?

ヨーロッパの一部や広大な土地を持つ地域では、
馬がほぼ一日中、外で過ごす「放牧スタイル」が一般的です。

広い牧草地の中で、

  • 自由に歩き回る
  • 草を食べる
  • 仲間と過ごす

そして必要に応じて、
雨風や日差しを避けられるシェルターを利用します。

日本の感覚では「外に出しっぱなしで大丈夫?」と感じるかもしれません。
しかしこれは放置ではなく、馬の習性に基づいた管理方法なのです。


なぜ放牧が馬の健康につながるのか

その理由はシンプルです。
馬は本来、動き続ける動物だからです。

野生の馬は、一日の多くを移動しながら過ごします。
じっと立っている時間よりも、ゆっくりでも歩き続ける時間の方が長いのです。

そのため、

  • 自由に動ける環境
  • 好きなタイミングで食べられる草
  • 群れで過ごす安心感

これらがそろうことで、
ストレスの軽減や消化機能の維持など、心身の健康につながると考えられています。


日本との違いは「環境に合わせた管理」

一方で、日本の厩舎管理にも明確な理由があります。

  • 四季による気候変化
  • 限られた土地
  • 安全管理の必要性

こうした条件の中で、
効率よく健康管理を行う方法として選ばれているのが現在のスタイルです。

つまり、どちらが良い・悪いではなく「環境に合わせた最適解の違い」なのです。


外で暮らす馬はかわいそう?

「寒くないの?」「かわいそう」と感じる方もいるかもしれません。

しかし馬は、

  • 季節に応じて生え変わる被毛
  • 体温調整の仕組み

によって、寒さにも対応できます。

さらに、自分で居場所を選びながら過ごせる環境は、
馬にとって自然で快適な場合も多いのです。

人間の感覚だけで判断すると、
本来の姿を見誤ってしまうこともあります。


馬の“当たり前”はひとつじゃない

同じ馬でも、

  • 厩舎で丁寧に管理される暮らし
  • 広い草地で自由に過ごす暮らし

そのどちらも、人と関わりながら成り立っています。

大切なのは、
「自分の知っている形だけが正しい」と決めつけないこと。

さまざまな飼養スタイルを知ることが、
馬への理解を深めるきっかけになります。

そしてそれは、
犬や猫との暮らし方にも通じる視点かもしれません。

進 由紀

進 由紀

投稿者の記事一覧

(すすむ ゆき)
乗馬インストラクター
全国乗馬倶楽部振興協会認定指導者

2002年より乗馬クラブでインストラクターとして働く

「馬は自分を映す鏡」の様な存在です。
自分の行動に対しての答えを、いつも分かりやすく返してくれます。
だからこそ、いつでも正直に、真剣に、謙虚に、馬と向き合う事が出来ます。
それは時に苦しいけれど、そんな時にもポッと何か閃きをくれたりする。
馬はとても賢くて、優しくて、そしてどんな馬もみな、真面目で頑張り屋です。

出会った馬には、幸せを感じながら人間と仕事をしてもらえるように。
また馬の素晴らしさを一人でも多くの方に知って頂けるように。

馬と共に成長し、人々に貢献する事を目標に、日々奮闘しています。

関連記事

  1. 馬の行動を彼らの視点で見る〈 前編 〉
  2. 乗馬インストラクターがお伝えする馬のお話「馬の生態 」- 2 …
  3. 白い馬
  4. 世界の馬たちの“夏のしのぎ方” 〜馬はどうやって暑さを乗り越える…
  5. 馬の祈り ~ A Horse’s Prayer ~
  6. 馬の品種
  7. 愛犬とのお出かけ日記 〜那須のNASU FARM VILLAGE…
  8. 世界中の古来の馬の品種 ~ 前編 ~
PAGE TOP