日本は動物愛護後進国!
-海外に学ぶ動物愛護 第3回-
第1回、第2回と、イギリスの動物愛護について紹介してきました。今回は少し視点を変えて、他国の動物愛護についても見ていきましょう。
イギリス以外で動物愛護が盛んな国のひとつにドイツがあります。
イギリスと同様、しつけが行き届いている犬であれば、公共の施設や電車などを利用でき、リードを付けずに散歩することも可能です。
みなさんは、ドイツの犬の殺処分数と処分場の数はどれくらいかご存じですか? なんと、いずれも0件!
それを可能とした要因のひとつが「ティアハイム」という施設です。「ティアハイム」とは「動物の家」という意味で、保護した動物を世話し、里親を探すための拠点となっており、全国に500軒ほど存在します。イギリスと同じようにドイツでも、犬はブリーダーから直接買うか、ティアハイムなどから譲り受けることでしか飼うことができません。しかもティアハイムから動物を引き取るには、厳しいチェックをクリアする必要があります。
ティアハイムがあらゆる動物の家となる
ティアハイムには犬猫に限らず、豚やウサギ、蛇などたくさんの種類の動物がいて、保護されている動物たちに「滞在期限」はありません。そのため、里親が見つかるまで動物たちはティアハイムで暮らすことができるので、殺処分数0件を実現することができたのです。
「それではティアハイムが動物で溢れかえってしまう一方では?」という疑問がわいてきますが、その心配はご無用。ティアハイムでの里親との仲介率は90%以上を保ち続けており、里親が見つからずにティアハイムに長居したり、病気や老衰で死んでゆく動物は、わずか10%なのです。
さまざまな種類の動物の世話や里親との仲介など、ティアハイムの仕事は大変なものですが、その運営資金の大半がボランティアの寄付によって賄われている上、働いている人もほとんどがボランティアです。
ドイツでは自治体単位で「犬税」が導入されており、無責任な飼い主の減少と、いたずらに犬の数が増えてしまうことの予防としています。
税率は地域によって異なりますが、おおよそ1頭目が年間100ユーロ(2013年5月現在で約13,000円)、2頭目以降は年間200ユーロ(2013年5月現在で約26,000円)ほどとなっています。ただし、介助犬や警察犬などの働く犬は免税されます。
※日本では市町村における犬税が昭和57年までありました。ふんの放置による環境美化問題・行政負担増を発端とし大阪・泉佐野市が「犬税」を平成26年度に導入することを表明しています。 犬税は法定外税で、自治体が条例で定める以外に総務相の同意が必要になり、実現へのハードルは低くありません。 大阪府泉佐野市での導入をめぐる動きが今後どう展開されるのか、注目されています。
この他にもドイツでは、法律によって犬の飼育条件(「一日数回もしくは長時間にわたり、外に散歩に行くこと」など)や鎖の長さ、オリの大きさやリードの長さまでもが細かく定められており、違反すると容赦なく通報されてしまいます。
また、「動物保護同盟」というものもあり、これに登録していると、犬が迷子になってしまったら24時間いつでも受付をして、探してもらえるのです。登録料は無料で、EU内の動物の家、動物愛護団体、警察署と個人の動物愛護家たちがネットワークを組んで迷子を探します。見つけ出す動物の数は年間およそ4万匹で、25年間の歴史を持った制度です。
さすが法律大国なだけあり、飼育条件までもが法律で定められているのには驚かされますね。ドイツでのペットとの暮らし方については、ドイツ在住経験者による「ドイツのペット事情」の記事もぜひご覧ください。
次回は、陽気でファッショナブルなイメージがある“あの国”の動物愛護についてご紹介します。
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