進由紀

馬のための栄養

乗馬インストラクターがお伝えする馬のお話。
今回は、馬のための栄養についてです。

馬は、草食動物ですが、どんなものを食べているかご存じでしょうか?
馬がエネルギー源として利用できる栄養素には、
・炭水化物
・脂肪
・タンパク質
があります。

炭水化物には、穀物に多く含まれるデンプンなどの消化性の高いものと、乾草などの消化性の低い繊維成分があります。
デンプンなどは小腸において消化吸収されます。
一方繊維成分は、馬の場合大腸で微生物による分解を受け、体内で利用できる脂肪酸になり吸収されエネルギー源として利用されます。

このように、馬はエネルギー源として繊維を利用できるため草食動物なのです。

同じ草食動物である牛と比較すると一般的に馬のほうが粗飼料(乾草など)の消化性が低いため、運動量が増加すると穀物などの濃厚飼料を給餌する必要があります。
この濃厚飼料の給与方法には、注意が必要です。
なぜなら馬の胃の容量は約10ℓと体の割には小さく、一度に大量の炭水化物を摂取すると消化しきれない炭水化物が大腸にオーバーフローしてしまいます。

大腸の微生物により炭水化物は分解され、この際生じる過度の乳酸により大腸内が酸性化さますが、微生物が死滅し疝痛や腸炎の発生率が上昇し、さらに体全体が酸性化することにより、すくみや蹄葉炎なども発症しやすくなります。

したがって、濃厚飼料の過剰給与を避け(体重 100kg あたり乾物で 1.25kg 以下、全飼料の 50%以下)、1日数 回に分けて給餌する必要があります。

馬に必要な栄養

【 エネルギー 】

生命を維持して、運動する燃料となります。
炭水化物、脂肪、タンパク質がエネルギー源となりますが、タンパク質がエネルギーとして利用されるのは炭水化物が供給不足の時なので、好ましい状態ではありません。

  • 炭水化物 

すぐにエネルギーとして利用できます。
穀類に多く含まれているのが「糖質」牧草に多く含まれているのが「繊維」です。

デンプンなどの糖質は胃で消化され、小腸で吸収されます。
牧草成分の大半を占める繊維は、消化はよくないですが、大腸の内部環境を良好に維持するために必要です。
少なくても、体重の1%以上の給与が望ましいです。

  • 脂肪

炭水化物の2倍以上のエネルギーがありますが、馬の飼料の中には5%ほどしか含まれていません。
脂肪を飼料に添加すると、炭水化物せ摂取量を上げずにエネルギーを上げる事ができ、運動時の持久力向上に有効と言われています。多くても1日に500mlを与えます。

【 タンパク質 】

馬にとっても重要な栄養源です。
筋肉の合成や体成分の維持の素となります。
穀類(麦、とうもろこしなど)が供給源ですが、過剰に給与してしまうとせ仙痛の原因となったり腎臓への負担を大きくするなどの弊害があるため注意が必要です。

その他、ミネラルが必要です。

馬の飼料

炭水化物や、脂肪、タンパク質の栄養素をどんなもので摂取するかというと、、、

 ・粗飼料:乾草など

   イネ科のチモシー、オーチャードグラスなど

   マメ科のアルファルファ、クローバーなど

   他、サイレージ

 ・濃厚飼料:穀物など

   とうもろこし、えん麦、ふすまなど  

 ・加工飼料:ペレットなどの人工的飼料 

 ・補助飼料:油粕類など

   大豆粕など

 ・添加飼料:ビタミン、ミネラルなどサプリメント

   カルシウム、食塩など

馬は、乾燥した飼料だと体重の2%前後の飼料を必要とします。
500kgの馬でしたら10kgです。
馬の運動量によって濃厚飼料の配分を調整したり、馬の消化器官の構造や機能を理解した上で、毎回の量や時間配分などを配慮する必要があります。
ヒトもそうですが、食べる事は健康な身体を維持するための要となりますので、気をつけてあげたいですね。

 

進 由紀

進 由紀

投稿者の記事一覧

(すすむ ゆき)
乗馬インストラクター
全国乗馬倶楽部振興協会認定指導者

2002年より乗馬クラブでインストラクターとして働く

「馬は自分を映す鏡」の様な存在です。
自分の行動に対しての答えを、いつも分かりやすく返してくれます。
だからこそ、いつでも正直に、真剣に、謙虚に、馬と向き合う事が出来ます。
それは時に苦しいけれど、そんな時にもポッと何か閃きをくれたりする。
馬はとても賢くて、優しくて、そしてどんな馬もみな、真面目で頑張り屋です。

出会った馬には、幸せを感じながら人間と仕事をしてもらえるように。
また馬の素晴らしさを一人でも多くの方に知って頂けるように。

馬と共に成長し、人々に貢献する事を目標に、日々奮闘しています。

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