世界の動物事情

海外の馬はどう暮らしている?日本との違いから見える馬との向き合い方

乗馬インストラクターがお伝えする馬のお話。
今回は、日本と海外の馬の管理方法の違いについて、実際に感じたことをご紹介します。

「海外の馬って、どんなふうに暮らしているの?」

そんな質問をいただくことがあります。
同じ“馬と暮らす”ということでも、国や地域が変わると、管理方法や考え方には驚くほど違いがあります。
私自身、ドイツで過ごした際、日本では当たり前だと思っていたことが、海外ではまったく違う方法で行われている場面に何度も出会いました。
最初は戸惑うこともありましたが、見ていくうちに「正解はひとつではない」ということを強く感じました。

日本との違い① 馬房の掃除方法

最初に驚いたのが、馬房の管理方法です。

日本では、おが粉やウッドチップを敷料として使うことが比較的多くあります。
毎日、尿やボロで汚れた部分を取り除き、できるだけ清潔な状態を維持する管理が一般的です。

一方、ドイツでは藁(わら)を使用している施設が多くありました。
しかも、その管理方法はとても効率的です。

毎日すべてを交換するのではなく、汚れた藁を下に沈め、上の比較的きれいな部分を整えて使用します。そして一定期間ごとにまとめて交換するスタイルでした。

最初に見たときは、

「これで大丈夫なのかな?」

と正直驚きました。

しかし実際には、臭いが強いわけでもなく、不衛生な印象もありませんでした。
しっかりと管理されていて、馬たちも落ち着いて快適に過ごしていました。

日本との違い② 蹄のケア方法

もうひとつ大きく違ったのが、蹄の扱い方です。

日本では、運動後に蹄を洗うことがよくあります。
泥や砂を落とし、清潔に保つために行う大切なケアのひとつです。

ところがドイツでは、基本的に蹄を水で洗うことはほとんどありませんでした。
むしろ考え方は逆で、

「なるべく濡らさない」
「乾いた状態を維持する」

という意識が強くありました。

その代わり、蹄用のオイルなどを使用し、適度な保湿で状態を整えていました。
日本では「洗うことが良いこと」と感じていたので、これもかなり印象的でした。

なぜ管理方法が違うの?

こうした違いには、実は気候が大きく関係しています。
ドイツは比較的乾燥している地域が多く、地面も日本ほど湿気を含みません。
そのため、蹄を頻繁に洗わなくても状態を維持しやすい環境があります。

一方、日本は湿度が高く、梅雨の時期もあります。
蹄の中が蒸れやすかったり、泥や汚れが残りやすかったりするため、水で洗うケアが必要になる場面が多くあります。
つまり、どちらが正しい・間違っているという話ではありません。
それぞれの環境に合わせて、最適な方法が選ばれているのです。

馬にとって本当に大切なこと

いろいろな国の管理方法を見て感じたのは、やり方は違っていても共通しているものがあるということです。
それは、「馬の状態をよく観察すること」。
敷料が藁でも、おが粉でも。
蹄を洗っても、洗わなくても。
大切なのは、その馬が快適に過ごせているか、体調や行動に変化がないかを日々見続けることです。
管理方法そのものが目的ではなく、馬が健康に過ごせることが一番大切なのだと思います。

まとめ|「当たり前」は国によって変わる

海外のやり方を知ると、自分の中の「当たり前」が少し柔らかくなります。

「これしかない」ではなく、「こういう考え方もあるんだ」

そう思えるようになると、馬との関わり方にも少し余裕が生まれる気がします。
国が違えば環境も違う。環境が違えば管理方法も変わる。
でも、馬を大切に思う気持ちは、きっとどこでも同じなのかもしれません。

進 由紀

進 由紀

投稿者の記事一覧

(すすむ ゆき)
乗馬インストラクター
全国乗馬倶楽部振興協会認定指導者

2002年より乗馬クラブでインストラクターとして働く

「馬は自分を映す鏡」の様な存在です。
自分の行動に対しての答えを、いつも分かりやすく返してくれます。
だからこそ、いつでも正直に、真剣に、謙虚に、馬と向き合う事が出来ます。
それは時に苦しいけれど、そんな時にもポッと何か閃きをくれたりする。
馬はとても賢くて、優しくて、そしてどんな馬もみな、真面目で頑張り屋です。

出会った馬には、幸せを感じながら人間と仕事をしてもらえるように。
また馬の素晴らしさを一人でも多くの方に知って頂けるように。

馬と共に成長し、人々に貢献する事を目標に、日々奮闘しています。

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