乗馬インストラクターがお伝えする馬のお話です。
ジメジメとした梅雨の季節になりました。広い牧場や乗馬クラブで、雨に打たれながら立っている馬を見て、
「寒くないのかな?」
「雨は嫌じゃないのかな?」
と思ったことがある方もいるのではないでしょうか。
実は、馬の雨への反応は意外なほどさまざまです。

馬は意外と雨に強い動物
まず驚かれるのが、馬は比較的雨に強い動物だということです。
馬の被毛はある程度の雨を弾く構造になっており、特に冬毛や厚い被毛の時期には、表面が濡れていても内側まで雨が届いていないことがあります。
そのため、小雨程度であれば気にせず草を食べ続けたり、のんびりと立っていたりする馬も少なくありません。
人から見ると、
「屋根のある場所へ行けばいいのに」
と思うような場面でも、馬たちは平然としていることがあります。
馬が苦手なのは雨そのものではない?
もちろん、すべての馬が雨を平気だと感じているわけではありません。
ただ、よく観察してみると、馬が苦手なのは「雨そのもの」ではなく、雨によって起こる環境の変化であることが多いのです。
例えば、
- 強い風
- 急な気温の低下
- 地面のぬかるみ
- 屋根や木に当たる雨音
などです。
馬はもともと草原で暮らしていた動物であり、周囲の変化を敏感に察知することで身を守ってきました。
そのため、いつもと違う音や景色に自然と注意を向けるのです。
雨の日は少し神経質になることも
乗馬クラブでも「今日は少し落ち着かないね」と感じる日があります。
風で木の枝が揺れる音。
カッパがバサッと鳴る音。
水たまりに落ちる雨粒の音。
人にとっては気にならないことでも、馬にとっては「何かが起こっているかもしれない」と感じる材料になります。
そのため雨の日は、普段より周囲をよく見たり、耳を頻繁に動かしたりする馬もいます。
これはわがままや反抗ではなく、馬なりに安全確認をしている状態なのです。
馬は仲間と一緒だと安心する
面白いことに、放牧中の馬たちは雨の日になると仲間の近くに集まることがあります。
群れで暮らす動物である馬にとって、仲間の存在は大きな安心材料です。
犬が飼い主の近くにいると安心するように、馬もまた信頼する仲間のそばで落ち着きを取り戻します。
大雨の日に何頭もの馬が寄り添うように立っている姿を見ると、馬が社会性の高い動物であることを改めて感じます。
実際に見た「大雨の日の馬たち」
これはずいぶん昔の出来事です。
夏の夜、馬たちを夜間放牧していたときのことでした。
天気予報では晴れの予報だったため、そのまま放牧していたのですが、夜になって突然の大雨が降り始めました。
慌てて迎えに向かいながら「みんなびしょ濡れで怖がっているかもしれない」と心配していました。
しかし、放牧地で見た光景は予想とはまったく違うものでした。
馬たちは群れで集まり、水たまりになっていない少し高い場所にまとまって静かに立っていたのです。
騒ぐわけでもなく、走り回るわけでもありません。
まるで雨が止むのを待っているかのようでした。
もちろん、本当にそう考えていたかはわかりません。
それでもその姿を見たとき、馬はただ本能だけで生きているのではなく、その場の環境に合わせながら行動している動物なのだと改めて感じたことを覚えています。
雨の日だからこそ見える馬の個性
雨の日は、人にとって少し憂うつに感じることもあります。
しかし馬たちを見ていると、その反応は実にさまざまです。
- まったく気にしない馬
- 早く屋根の下へ行きたがる馬
- 風の音に耳を向け続ける馬
同じ雨の中にいても、感じ方はそれぞれ違います。
だからこそ雨の日は、馬の性格や個性がよく見える日でもあります。
晴れた日には気づかなかった表情や仕草に出会えることもあるでしょう。
まとめ|雨の日は馬の性格がよく見える日
もし雨の日に馬を見る機会があったら、ぜひ少しだけ観察してみてください。
「雨は嫌いなのかな?」と思う馬もいれば「そんなこと気にしていたの?」と言いたくなるほどマイペースな馬もいるはずです。
雨の日は、馬たちの習性だけでなく、一頭一頭の個性がよく見える特別な時間です。
その違いを発見することも、馬と触れ合う楽しさのひとつなのかもしれません。






























