進由紀

ナチュラルホースマンシップ 〜馬の表情 2 「耳」〜

乗馬インストラクターがお伝えする馬のお話。
今回は、馬の表情の中でも『耳』についてです。

馬の耳はよく動き、私たち人間の注意を引きますね。
馬の耳は、馬の気持ちがどこに向いているのか、何に注意を払っているかを示しています。

馬がライダーの方に片耳、もしくは両耳をむけている時、その動作は

「私はあなたに注意を払っています」と言っています。
片耳が後ろを向き、同時にもう一方の耳が前を向いている時は、
「今やっている仕事にも、注意を払っています」を意味します。

両耳が基本的に前に向いているけれど、片耳が前後に動くときは

「好奇心を持った耳」です。

横に倒した耳をした馬は

リラックスして自信があります。
飛行機のような耳です。
横に倒した耳は、他の馬や人間を「招き寄せ」ます。
この耳と低くさげた頭、柔らかい鼻面は歓迎の印です。
あなたが馬房に迎えに行った時にこの表情で向かって来てくれていますか?

耳が柔らかく後ろを向き、少し垂れた耳は

「内向きの耳」と呼ばれます。
この耳は、馬が外界の何にもあまり注意を払っていないことを示しています。
馬の内なる静けさ、平和を示すもので、通常は馬が一体感や友情を感じた時に見られます。

真っ直ぐに立っているのは

「確認の耳」です。
群れの中で確認役の馬は危険を発見し、脅威を察知すると一瞬確認の耳になります。
また、この耳は馬が攻勢に転じる用意があることも示しています。
うなじを高くして敵に向かって自分の大きさと強さをアピールする時にこの耳になります。

また、障害物を飛越する直前に、耳が確認モードから攻撃モードに切り替わるのをしばしば見ることができます。

耳を振るのは

ストレスを振り払う時です。
賛成できないことや、不快な出来事を、文字通りふ振り払います。

馬だけで過ごしている時に耳がぴくっと動いたり、くるくる回ったりするのは

馬のお喋りや、笑いです。

馬と自分が過ごしている時に、耳がどこに向いているか、ぜひ注目して見てくださいね。

 

進 由紀

進 由紀

投稿者の記事一覧

(すすむ ゆき)
乗馬インストラクター
全国乗馬倶楽部振興協会認定指導者

2002年より乗馬クラブでインストラクターとして働く

「馬は自分を映す鏡」の様な存在です。
自分の行動に対しての答えを、いつも分かりやすく返してくれます。
だからこそ、いつでも正直に、真剣に、謙虚に、馬と向き合う事が出来ます。
それは時に苦しいけれど、そんな時にもポッと何か閃きをくれたりする。
馬はとても賢くて、優しくて、そしてどんな馬もみな、真面目で頑張り屋です。

出会った馬には、幸せを感じながら人間と仕事をしてもらえるように。
また馬の素晴らしさを一人でも多くの方に知って頂けるように。

馬と共に成長し、人々に貢献する事を目標に、日々奮闘しています。

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