乗馬インストラクターがお伝えする馬のお話。
今回は馬が喜ぶ春の草のお話です。
春になると、草の色がぐっと鮮やかになります。
公園や道ばたの緑も、冬とはまったく違うやわらかい色になりますよね。
犬の散歩をしていると、新芽の草をくんくん嗅いでいたり、少しかじってみたりする姿を見ることもありますよね。
そんな春の草ですが、実は馬にとっても特別な存在です。
ただし、それは「ごちそう」であると同時に、少し注意が必要なものでもあります。

■ 春の草はとても栄養豊富
春の草は、まだ若くて柔らかく、水分もたっぷり含んでいます。
この時期の草は糖分が多く、栄養価がとても高いのが特徴です。
馬にとって青草は、自然な食べ物のひとつです。
放牧された馬が嬉しそうに草を食べている姿を見ると、「おいしいんだろうな」と感じる方も多いと思います。
実際、冬の乾いた牧草に比べると、春の草は香りも強く、味も濃いと言われています。
馬が夢中になって食べるのも、うなずける変化です。
■ でも、食べすぎには注意
ただし、この「栄養の豊富さ」が、時には体の負担になることもあります。
特に注意したいのが、糖分の摂りすぎです。
春の青草にはエネルギーが多く含まれているため、一度にたくさん食べてしまうと、体のバランスを崩してしまうことがあります。
馬の世界では、春の青草が原因で起こることがあるトラブルとして、**蹄葉炎(ていようえん)**という病気が知られています。
蹄の内部に炎症が起き、強い痛みが出ることもあるため、管理には十分な注意が必要です。
そのため、放牧する時間を調整したり、草の量をコントロールしたりと、季節に合わせた工夫が行われています。
■ 馬は“季節の味”を知っている
それでも、春の草を食べる馬の表情はとても穏やかです。
顔を下げて、ゆっくりと草を噛みしめる姿は、どこか満足そうにも見えます。
冬の間を過ごし、暖かい季節の訪れを感じながら、自然の恵みを味わっている、
そんなふうにも感じられる光景です。
犬や猫が春の匂いを楽しむように、
馬にとってもこの季節は「春を感じる時間」なのかもしれません。
■ 自然と付き合うということ
動物たちは、自然の変化にとても敏感です。
草の伸び方、風の匂い、日の長さ。
そうした小さな変化を感じ取りながら、日々を過ごしています。
春の草は、馬にとって大きな楽しみのひとつ。
でも同時に、私たち人が少しだけ気を配ることで、より安全にその季節を楽しむことができます。
自然の恵みを大切にしながら、
馬が気持ちよく春を迎えられるように。
そんな視点で馬を見てみると、いつもの景色も少し違って見えるかもしれません。






























