前回は、蚊が媒介するフィラリア症の仕組みや、元保護犬・小珠との出会いを通して、「予防すること」の大切さをお伝えしました。
今回は、もし感染してしまった場合にどのような治療が行われるのか、小珠の実体験を交えながらご紹介します。
「手術すれば治る」は本当?
「フィラリア予防をすることは、地域のワンコやニャンコを守ることにもつながるんだよ」
「もしフィラリアになっても、手術で治せるのでは?」
そう考える方もいらっしゃるかもしれません。
実は私も、小珠を迎えるまではそう思っていました。
ところが、最初に診察してくださった獣医師から言われたのは、意外な言葉でした。
「万が一に備えて、フィラリア手術ができる病院を探しておいてください。」
どこの病院でもできるものではないのか?と驚いて理由を尋ねると、
「近年は予防がしっかり普及しているため、重症のフィラリア症そのものが非常に少なくなっています。そのため、この手術を経験した獣医師も限られているんです。」
という説明を受けました。
フィラリアの摘出手術は、首の血管から細い器具を入れ、心臓内にいる寄生虫を少しずつ取り出す高度な処置です。
犬の状態によっては大きな負担となるため、できる限り避けたい治療でもあります。
もちろん、現在でも対応可能な動物病院はありますが、地域や病院によって対応状況は異なります。
だからこそ、「治療できるから大丈夫」ではなく、「感染させないこと」が何より重要なのです。
小珠が受けたフィラリア治療
小珠は我が家へ迎えてすぐに治療を開始しました。
当時は成虫を直接駆除する薬が使われていましたが、とても強い薬だったため、小珠は体調を崩し、心不全を起こしてしまいました。
幸い処置が早く、一命を取り留めることができましたが、命に関わる危険な状態だったことを今でも鮮明に覚えています。
そこで先生と相談し、別の治療方法を選ぶことになりました。
それがボルバキア治療でした。
ボルバキア治療とは?
フィラリアには「ボルバキア菌」という細菌が共生しています。
この細菌は、フィラリアが成長したり繁殖したりするために欠かせない存在です。
そこで、ボルバキア菌に作用する抗生物質を投与することで、フィラリアの活動を徐々に弱めていく治療法がボルバキア治療です。
急激に成虫を駆除する方法に比べ、フィラリアが一度に死滅することで血管が詰まるリスクを抑えながら治療を進められる可能性があるため、犬の状態に応じて選択されることがあります。
一般的には、
- 約1か月間抗生物質を投与
- 約1か月休薬
- フィラリア検査
を1クールとして繰り返し、寄生虫の反応がなくなるまで継続します。
治療期間は犬によって異なりますが、数か月から1年以上かかることもあります。

「小珠も一年くらいかかったけど、ちゃんと駆虫できたよ!」
小珠も焦らず治療を続け、少しずつフィラリアを駆除することができました。
予防薬を飲み忘れてしまったら?
どれだけ気を付けていても、「うっかり飲ませ忘れてしまった……」ということは起こり得ます。
そんな時に一番大切なのは、
自己判断しないこと。
慌ててまとめて飲ませたり、次回まで様子を見たりせず、まずはかかりつけの動物病院へ相談してください。
飲み忘れた期間や地域、蚊の発生状況などを考慮し、適切な対応を指示してもらえます。
フィラリア症の初期症状
フィラリア症は、初期には目立った症状がないことも少なくありません。
しかし、次のような変化が見られたら注意が必要です。
- 咳が続く
- 散歩を嫌がる
- 運動するとすぐ疲れる
- 食欲が落ちる
- 毛づやが悪くなる
- 呼吸が浅く速くなる
- 散歩中や興奮した時に失神する
ただし、これらの症状が現れた頃には、フィラリアはすでに成長し、心臓や肺に大きな負担をかけている可能性があります。
だからこそ、症状が出る前の予防が何より重要なのです。
治療よりも予防が犬への優しさ
小珠は時間をかけてフィラリアを駆除することができました。
しかし、心臓の弁は元には戻りませんでした。
寄生虫はいなくなっても、一度傷ついた心臓は完全には回復しないこともあります。
だからこそ私は、多くの飼い主さんに伝えたいのです。
毎月の予防薬は、「病気を防ぐ薬」であると同時に、愛犬の未来を守るための薬でもあります。
次回はいよいよ最終回です。
フィラリア予防とあわせて毎日の健康づくりに役立つ、薬膳ごはんとツボマッサージをご紹介します。
病気を予防するだけでなく、「健康な体を育てる」という薬膳の考え方もぜひ取り入れてみてください。






























