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 ペットの医療・健康

 第1回「犬・猫から人にうつる病気」


 ペットとともに暮らす人々にとって、もっとも気になるのは愛犬・愛猫の健康でしょう。愛するペットが末永く健康で生きてほしい。だれもがそう思うはず。今回から始まるテーマ「ペットの医療・健康」では、ペットの医療や健康について、さまざまな話題にふれ、情報を提供していきます。

 第1・2回は、「犬・猫から人にうつる病気」です。

ペットから飼い主にうつる病気

 犬と人間

 およそ3人に1人がペットを飼っていると言われる今日、ペットと共に暮らす中で、問題として挙がることの一つが、ペットから人への感染症です。ただし、これらは知識を持って予防することで防ぐことが可能です。

 人間と動物の両方がかかってしまう病気のことを人獣共通感染症(ズーノーシス)といい、日本では60~80種類くらいが問題とされています。その中でも、ペットから人にうつる病気は30種類程度とあるとされています。

 しかし、ペットからうつるものは多くはないうえ、ほとんどが感染しても完治する病気です。2006年6月1日からは動物愛護法が改正され、人獣共通感染症の予防のために必要な注意を払うことは飼い主側の責任となりました。実際にはそれらに感染することは稀ですが、人とペットが共存していくうえでは注意しなければなりません。

人にうつる犬の感染症

 犬がかかる病気のうち、人にもうつる代表的なものとしては、狂犬病やレプトスピラなどが挙げられます。特に狂犬病は、人だけではなくすべてのほ乳類にうつる可能性があり、発症した場合は100%死に至る恐ろしい病気です。そのため、狂犬病は法律でワクチンの接種が義務付けられています。

 日本国内での狂犬病の感染は1957年以降は見られていませんが、海外では毎年3~5万人を超える人々がこの狂犬病により命を落としています。日本の近隣国でも発生しているため、タイへ旅行した日本人が亡くなった例が数年前にありました。

 ペットからの感染で狂犬病のような危険な病気にかかることは日本国内にいる限りほとんどありません。しかしこのような大きな病気でなくても、昔と違い現在では犬を室内で飼うことが多くなり、人との生活環境も近くなったことから人に病気がうつるケース自体は増えつつあります。また、ウイルスや細菌に感染したとしても、犬の側には特に症状が見られないことが多く、気づかないまま飼い主にうつることがあります。

犬から人間への感染ルート

 では、ペットの犬から人間に病気がうつる際の感染ルートにはどのようなものがあるのでしょうか。

(1)経口感染
特に人にうつりやすいルートでもあり、口の周りをなめられたりすることで細菌や寄生虫の卵が口から入り、感染する。

(2)経皮感染
皮ふの傷口などから病原体が侵入する場合のほか、病原体自身が皮ふから侵入してきて感染する。

(3)接触感染
犬の毛や皮ふに触ることによって感染する。

(4)空気感染
犬がせきやくしゃみをすることで、空気中に病原体が飛散して感染したり、病気に感染している犬と同じ空間にいることで感染する。

(5)咬傷感染
病気に感染している犬に噛まれて感染したり、引っかかれた傷口から感染する。

(6)媒介昆虫による感染
蚊やダニなどが病原体を媒介し、人に感染する。

 ひとにうつる犬の感染症

 感染を防ぐためには、犬に口移しで食べ物を与える、人間が使用しているお箸やスプーンなどで食べ物を与える、キスをする、一緒に寝るなど、ペットかわいさのあまりついつい日常的に行いがちなことに、よく気をつける必要があるでしょう。

猫から人間への感染ルート

 ペットの猫についても、基本的には犬の場合と感染ルートや注意点については変わりません。例に挙げると、猫のお腹の中にいる寄生虫の卵が口に入る経口感染や、虫が皮ふから侵入する経皮感染、また、猫に噛まれたり引っかかれたりすることで起こる咬傷感染などのルートがあります。猫との生活でどんなことに注意をしたらよいか、いくつか具体的に挙げてみましょう。

(1)定期的に寄生虫を駆虫する
猫自身と飼い主家族のためにも、寄生虫が確認できていないときでも定期的な駆虫を続けていくことが大切です。

(2)行き過ぎたスキンシップを控える
犬の場合と同様ですが、行き過ぎたスキンシップを控え、乳幼児やお年寄り、免疫系統の疾患を持つ人は寝る場所を別にすることが望ましいでしょう。

(3)噛まれたり引っかかれて傷ができたら処置する
突然噛まれたり引っかかれたりすることもありますが、なるべくそのような事態になることを避けましょう。もし傷を負ってしまったらすぐに水で洗い流し、消毒と手当をしましょう。

(4)手洗いをする
手から病原体が入ってしまうことが多いため、猫のトイレを掃除したりグルーミングをした後などは、石けんでの手洗いを習慣づけましょう。

(5)住環境を清潔に保つ
猫と一緒に暮らす環境を清潔に保ち、通気を良くする。

(6)室内飼いをする
室内のみで飼うことがベストです。もし自由に外出させるならば、人の食事や睡眠の場は猫と分け、毎月駆虫を行うことが大事です。

 ほとんどの病気は正しい知識によって予防が可能ですが、一般にペット側の症状が少なく、飼い主側に症状が出ることが多いということがポイントです。ですから、感染予防の第一歩としては、症状を訴えることができないペットの健康チェックをまず怠らないように心がけることが重要なのです。

 次回は、犬・猫それぞれからうつる病気について、具体的に詳しく説明していきたいと思います。


連載 『ペットの医療・健康

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