アメリカン・コッカー・スパニエルの祖先となるイングリッシュ・コッカー・スパニエルがアメリカに持ち込まれたのは19世紀後半、同じ祖先を持つ小さなトイ・スパニエルを掛け合わせて改良され作出されたという説があります。 猟師たちがウズラやヤマシギ（「コッカー」という名前はヤマシギ猟に最も使われていたことから由来しています）などの小さな鳥を主な獲物としていたため、鳥に気付かれず忍び寄ることが上手な小型の鳥猟犬を必要とされた頃でした。日本では1955年ごろから知られるようになり、後に、ディズニー映画『わんわん物語』の主人公になったことで、一躍世界中に知られるようになりました。

優美な外観にがっしりとした体を持ち、アメリカで「メリー（陽気な）・コッカー」と呼ばれるほどの陽気さと、人懐っこさを持ち、イタズラ好きな点もなぜか憎めない性格が多くの愛犬家にとって魅力の一つでしょう。好奇心旺盛、感受性が豊かで、積極的に飼い主の期待に応えようと努力するのはガンドッグとして猟師と共同作業をすることを喜びとする気質が残っているのでしょう。また甘え上手でありながら意外に冷静に状況判断し、どうすれば飼い主は応えてくれるということに敏感な犬種です。猫っ可愛がりしていると逆に飼い主が犬の要求どおりコントロールされてしまいがちなので注意しましょう。子供に対する許容度は広いため小さいうちから慣れさせれば良い遊び相手になってくれます。

その陽気で人懐っこい性格からイタズラや要求をされても「まぁ、しょうがないか」と許してしまうぐらい愛らしい仕草と飼い主に向ける愛情表現は最大の魅力です。ですが作業意欲が高く、賢いこの犬種に子犬の頃からの甘やかしが行き過ぎると成犬になるころには手に負えない家庭内暴走族になり、咬み付き行動が出る可能性もゼロではありません。人懐っこさは周りの人、犬とのコミュニケーションに使ってもらい家の中では適度にメリハリを持って接することを心がけ、家庭のルールを躾ることで愛情に厚く、でも厚かましくはない癒し犬として家族をいつのまにか笑顔にしてくれる大切な存在となります。「メリー（陽気な）･コッカー」を活かすも活かせずも飼い主次第、甘やかすだけでは本当の家族の一員にはなれません。

遺伝性疾患が出やすく白内障・緑内障・ホスホフルクトキナーゼ欠損症などがある。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　膝蓋骨脱臼・脂漏性皮膚炎・股関節形成不全・眼瞼内反症・眼瞼外反症・外耳炎・胃捻転 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　○お手入れ：被毛はその美しさを保つため、手間とお金が掛かることを覚悟しましょう。２カ月ごとのトリミング、週２～３回のブラッシングが必要です。外観が気にならないのであれば短く刈ることでお手入れは楽になります。目の周りは涙焼けしやすく、垂れている耳は不衛生になりがち、日ごろからケアし清潔にしましょう。長い被毛で覆われた足は散歩の後、埃が溜まり易いので脚拭き、足回りの手入れも必須です。