しつけ・ケア

愛犬とのしつけエクササイズ 第2回.マテ

愛犬とのしつけエクササイズ

第2時間目 「マテ」

里見 潤(ドッグコーチ)


 第2時間目は、「マテ」のしつけエクササイズです。(「スワレ」ができるようになってからトライしましょう)

 散歩スタート!玄関を飛び出さないように。他の人や犬と挨拶させる前に「マテ」。信号待ちで。人と犬が一緒に暮らすなかで、家族も犬も周りの人にもうれしい「マテ」は、犬に自立心、我慢することを教えることにもつながります。人に頼りたい気持ちが強い犬にはぜひ教えてあげ、自立心を養いましょう。一人でも平気でいられるように。

  1.  まず「スワレ」をさせ、犬と正面を向き合いハンドシグナル(手を犬の前にかざす)とともに「マテ」のコマンドをかけ、ゆっくりと「1」を数えます(声には出さず心の中で)。その間「スワレ」の姿勢のまま待っていられたらごほうびをあげます。何度か繰り返し、3秒、10秒、15秒、30秒・・・と「待っている時間」を少しずつ伸ばしていきましょう

  2. まずスワレをさせますスワレの姿勢のまま待っていられたらごほうびをあげます

    「スワレ」の状態から「マテ」のコマンドをかけ、ゆっくり「1」を数える。
     そのまま待っていられたらごほうびをあげる
  3.  「待っている時間」が30秒はできるようになったら、次は少しずつ離れていく練習をします。「マテ」のコマンドをかけ、犬から1歩後ろに下がり、すぐに1歩前に出て元の位置に戻ります。飼い主が離れ戻ってくる間「スワレ」の姿勢のまま待っていられたらごほうびをあげましょう。「1歩離れて戻るマテ」を繰り返し練習します。

  4. マテをさせて、1歩うしろにさがります

    犬から1歩後ろに下がり、「マテ」のコマンドをかける
  5. 「1歩マテ」が確実にできるようになったら2歩、3歩、4歩、5歩と「離れる距離」を伸ばしていきます。5歩が確実にできるようになったら次のステップへ。
  6. 距離と時間、どちらともできるようになってきたら、組み合わせて練習をします。1歩離れた状態で「10を数える(心の中で)」からスタート。数え終わるまで「スワレ」の姿勢のまま待っていられたら、ゆっくりと戻りごほうびをあげます。繰り返し練習し、まずは1歩離れた状態で待てる時間を10、15、30・・・と伸ばしていきましょう。家庭犬の「マテ」第1目標である「家の中で5歩離れ、3分マテ」にトライしましょう。

WAN!ポイント

 「離れる距離」「待っている時間」は別々に練習しましょう。「距離」と「時間」、どちらから練習しても構いませんが、2つのことをいっぺんに教えようとすると犬も混乱し、失敗してしまう可能性がグンと高くなります。必ず1つずつ別々に教えるようにし、距離を練習するときは時間を短く、時間を練習するときは距離を短くし(1つ難しくしたら、1つ易しくする)、どちらともできるようになってきたら距離を離れながら時間も長くしていく練習をしていきましょう。

ほめ上手が教え上手

 「マテ」は、ほめ方を犬のタイプに合わせて選ぶと、効果的に教えられます。

 飼い主さんに声をかけられるだけで嬉しくなり、興奮し落ち着きがなくなるタイプの犬には過剰なほめは逆効果。ほめたことが興奮を誘い、せっかくできていた「マテ」の姿勢から動いてしまうことも。犬をほめるときにかける言葉はキーの高い声ではなく、キーは低く、ゆっくりと落ち着いたトーンの声にします。

 意識としては「ほめる」というよりもできたことを「認める」といったニュアンスです。体をなでることが興奮を誘うのもこのタイプ。なでることで興奮し、動いてしまうならば「なでる」ほめは使わず、ゆっくりと認める、落ち着かせるほめ言葉とごほうびで正しいことを伝えましょう。逆に、大人しいタイプの犬には「ほめ言葉+ゆっくりと『なでる』+ごほうび」を使うとより明確に伝えてあげられます。

「静のマテ」と「動のオッケー」はセットで。

 「マテ」といっしょに「オッケー(動いていいよの命令)」も教えてあげましょう。動かないで待っている愛犬の正面に戻ったときに、「オッケー」の言葉を明るく楽しくかけてあげながら、飼い主さんも楽しく誘うように動きだしましょう。「マテ」は動きの少ない「静」のトレーニング。「オッケー」がうまく伝われば動きにメリハリがつき、より効果的に「マテ」も教えられます。愛犬に動いていいとき、待っていなければいけないときの「区別」を教えてあげることが「マテ」上手への一歩です。

マテとオッケーのメリハリをつけます

マテとオッケーのメリハリをつけます

「戻ってごほうび、戻ってオッケー」

 「ごほうび」と「オッケー」は、必ず愛犬のもとに戻ってからにしましょう。戻ってきてからいいことがあることで「ママ、パパが戻ってくるまでは動かないで待っているのが正解」と伝えることができます。逆に、離れたところから「オッケー」を出してしまうと、犬は「マテ」のときから「そろそろ動いてイイのかな?」とそわそわし、失敗を誘ってしまうことにつながるので注意しましょう。

「マテ」はアクティブに(犬を飽きさせない)

 「マテ」は動きの少ない行動なので、犬が飽きないよう工夫しましょう。「マテ」と「オッケー」を交互に取り入れ、「オッケー」のときには一緒にじゃれ合ってみたり、部屋の中で軽く追いかけっこをしてみたり、「静(マテ)」と「動(オッケー)」を上手に織り交ぜることで「ちゃんと待っていればその後一緒に遊んでもらえる」という期待感を持たせるのもいいでしょう。

 ただし、愛犬が興奮しやすいタイプの場合は、動きが多いと興奮しすぎてしまうこともあります。その点はご自身の愛犬のタイプをよく見て、その犬に合うほめ方や「マテ」練習の進め方を選びましょう。

愛犬とのしつけエクササイズ
第1回 スワレ

愛犬とのしつけエクササイズ
第3回 フセ

里見 潤

里見 潤

投稿者の記事一覧

(さとみ じゅん)

ドッグコーチ

1975年、横浜市生まれ。2004年、警察犬訓練校に入学、出張トレーニング会社を経て、保護活動団体「Dog shelter」の専属スタッフとして、保護犬のトレーニング、一時預かり家庭と里親家庭の間に入り、アフターフォローを担当する。
2012年7月より独立。出張、及び預託トレーニングを柱に活動する傍ら、保護犬の一時預かりを継続中。
 
日本警察犬協会公認訓練士
ジャパンケネルクラブ公認訓練士
東京都動物愛護推進員

 保護犬預かりを主に、トレーニングのことを書いている里見潤さんのブログ
 「イヌと歩けば。」http://setahachidog.blog.fc2.com

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