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「吠えグセ」を考えてみよう

第2回目 

    ~飼い主ができること~ 



    


  前回は、「①イヌはもともと吠える生き物だということを知っておくこと(習性)」お伝えしました。 今回は、「②毎日の生活の中でイヌの欲求、運動量を満たすこと、③イヌにとって快適な(警戒心や依存心を出しにくい)環境作りのためのハウストレーニングをした上で、現実的な妥協点(ゴール)を見つける」をお伝えします。

―犬の運動、エネルギー発散!!―

  ②イヌに必要な欲求や運動量を満たす・・・これは「吠えグセ」のみならず、犬も飼い主も快適に楽しく暮らす上で共通してとっても大事なことです。

  私は「疲れているイヌはいいイヌ」という言葉を警察犬訓練専門学校にいるときに教わりました。まだ若い1~2歳のイヌを中学生の男の子と考えてみましょう。

  この年代の子はエネルギーも多く、いろいろなことにも興味を持ち、発散する場所を求めています。私も経験がありますが、沢山あるエネルギーをどうしたらいいのか自分自身ではコントロールが難しいこともありました。

  ですが例えば部活動をしているなど、学校の後に部活で多くのエネルギーを使うと、家に帰るころにはヘトヘト、お風呂に入って、ご飯を食べ、おなかが満たされればあとは親に文句を言う元気もなくただ寝るだけだと思います。その逆も然りです。

  イヌにも同じようなことがいえると私は思います。欲求を満たさず、運動量も満たしていないイヌは溜まったエネルギーを出していないためストレスを抱えやすく、それが吠えへとイタズラへと繋がりやすい。

  逆に散歩や運動、匂い嗅ぎ、他のイヌや家族以外の人との触れ合い、ボール投げやおもちゃの引っ張りっこ、硬いものを噛みたい欲求など、イヌが持っている欲求と必要な運動量が日ごろから十分に満たされていれば吠えることをゼロにはできなくても、吠えグセを軽減させることができます。

  「疲れているイヌはいいイヌ」・・・吠えグセでお悩みならば一日に一回は愛犬の舌がデロンと斜め横に出るくらいに疲れさせ、満足させることをまずやってみると思いのほかそれだけで吠え声が気にならなくなる・・・。そうなればしめたものです。

―犬とハウスの関係―

  ③イヌにとって快適な(警戒心や依存心を出しにくい)環境作りとしてのハウストレー二ングや接し方をしていきましょう。テリトリー内での刺激に対する警戒心や家族に対する依存性を和らげるためにもハウストレーニングはお勧めです。

  ハウスはイヌにとってそこにいれば誰にも邪魔されないプライベートルームです。安心できる場所となるよう練習をしていきましょう。チャイムや来客など警戒吠えが出やすいシチュエーションにも活用できますし、普段家にいるときからお互い別々に過ごすことに慣れさせることで、自立心を育て、留守番を独りで過ごせるよう活用することもできます(イヌのタイプや性格、経験の有無によってはハウスではなく、サークルタイプが向いているイヌもいるので適性を見てあげましょう)。

  人によってはハウストレーニングというと狭い中に閉じ込める、可哀想という意識を持たれることもあるでしょう。しかし、もともとイヌには、狭いスペースにいると安心して落ち着ける習性があります。人と同じ視点で感じ、判断するのではなく、あくまでイヌの視点(習性)から考え、イヌにとって何が安心で何が不安なのかを知り、提供してあげることが大切です。

  ①~③を継続してやるだけでも「吠える」行動の軽減がされるでしょう。それで生活上問題とまではならないのであれば妥協点としてそのままでもよし。その上で必要であればチャイム吠え、留守番中の吠え、生活音への警戒吠え、要求吠え、散歩中の他イヌへの吠えなどそれぞれ気になる問題にプラスアルファでトレーニングをしていくといいでしょう。

  家族にとってイヌは欠かせない家族の一員になりつつありますが、イヌは人間ではありません。考え方や感じ方が違い、どうすれば安心でどうすれば不安を感じるのかも人とは違います。

  イヌを必要以上に擬人化すればそれはイヌにとっても不幸なことです。警戒心が出にくいように欲求や運動量を満たし、安心できる場所を作る。依存性を抑えるようにハウストレーニングで別々に過ごす時間を持ち、普段からの接し方でも家族だけにべったりとはさせない。他人や他イヌとも関係を持たせ、自立心や協調性を育てるように生活する・・・など工夫するとよいでしょう。

  イヌは可愛いし、人を癒してくれるかけがえのない存在ですが、「テリトリーを守りたい」・「群れたい」という意識があるイヌは可愛いからだけでは飼えません。社会の中で、現代人に多い生活スタイルや住環境の中で飼うのであれば、イヌの視点(習性)からテリトリーを守る必要が出にくい環境を作り、独りで留守番ができるように普段から接し方やハウス(サークル)トレーニングをしておくことも、可愛がるのと同じくらいに飼い主の責任といえるでしょう。

  土台がない上に家を建てても倒れやすいように、吠えや咬みの問題にいきなりトレーニングしようとしてもうまくいきません。トレーニング以前にイヌは社会の中で共存していく生き物であることを、飼う側の家族全員が考え「イヌに依存しない飼い主」を意識することが必要です。

  そのための①~③でもあります。それができてからこそが吠えや咬みの問題解決のスタートでしょう。


連載 『吠えグセを考えてみよう
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  里見 潤 (ドッグシェルタースタッフ/ドッグトレーナー)

  1975年、横浜市生まれ。2004年、警察犬訓練校に入学、出張トレーニング会社を経て、現在、動物保護団体「ドッグシェルター」スタッフ。

  保護犬の引き取りから、預かり先との連絡、里親への引き渡しまで、すべての業務を担当している。本業務の傍ら、ドッグトレーナーとしても活動し、犬のしつけ教室などで講師を務めている。

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