アニマルライツ

犬と楽しく暮らすためのトレーニング 第4回 犬と楽しく暮らすために

犬と楽しく暮らすためのトレーニング
山本聖文

ドッグトレーナー・ドッグライフカウンセラー・ドッグアドバイザー

    第4回  犬と楽しく暮らすために


  ドッグトレーナーのほか、ドッグライフカウンセラー、ドッグアドバイザーとしても活動する山本さん。最後に、犬を飼う前に知っておきたいこと、考えてほしいことを話していただきました。

◆トレーニングとカウンセリングの違い

  犬の扱い方、しつけ方を教えるのと、犬との暮らし方を考えるのは、別のことだと思うんです。また、犬に何かを教えるのと、飼い主さんにアドバイスすることにも、それぞれ別のスキルが必要です。

  例えば、「犬を飼ってみたけれど、妻が犬を嫌っている」という相談を受けた場合、奥さんが犬を嫌っている理由を探っていきます。毛が抜けて汚いというのならブラッシングを教え、なつかないから嫌いと言うなら、一緒に遊ぶ方法を考えます。よくよく聞いてみると、本当は犬ばかりかまっている夫に対して不満があることもあります。

訓練中の飼い主と見守る山本さん。訓練中の飼い主と見守る山本さん。

  犬と人との暮らしの質を高め、お互いに楽しく過ごすためには、トレーニングとカウンセリングの両方が必要なのです。

◆もう一度頑張ろうと思えるように

  自分から問い合わせをしてくるのは、ある意味「安心な飼い主さん」です。お金を払ってでも相談にくるということは、犬との暮らしをよりよくしたいという気持ちがあってのことだから、困ったことがあっても今すぐ犬を捨てたりはしないだろうと。

  公園などで開催する「お悩み相談会」に行くと、これは本当にまずい! という飼い主さんにも出会います。犬との暮らしが嫌になりかけている、犬との暮らしを放棄する口実を探しているような方たちです。

  スクールの生徒さんには、時には厳しいアドバイスをすることもあります。しかし、犬との暮らしが嫌になっている状態の飼い主さんには、たとえ真実でもストレートな物言いはできません。説教じみたことなど言ったら「どうせ私には無理! もういいわ!」と、途中で帰ってしまったりするからです。

  飼い主さんを怒らせず、犬への興味を失わせず、「もう一度、やってみようかな」という意欲や希望を持って帰ってもらうこと。それが大切なんです。

◆犬と暮らす前に知っておきたいこと

  私は、スクールの生徒さんに「なぜ、その犬種に決めたのですか」と質問します。この問いは本来、犬を飼う前にご自身に問いかけてほしい質問なのです。

  「友だちが飼っているのと同じ種類の犬だから」とか、「ペットショップで目が合っちゃった」という理由で決めず、愛犬との暮らしで何がしたいのかというビジョンを持ち、そのイメージに合った犬種を選んでほしいのです。

  子どもたちと楽しく遊んでほしい。ドッグカフェに連れて行きたい。毛が長くて優雅な犬がいい…。そんな漠然としたイメージでもいいのです。

  犬種選びをアドバイスするのも、ドッグカウンセラーの仕事のひとつですが、海外では「犬種アドバイザー」という職業が独立して存在する国もあるくらい、目的に合った犬種選びは大事です。

  イメージに沿って犬種を選び、それから希望をかなえるような訓練を行うのが理想だと思います。

◆犬と人とをつなぐもの

自分の犬も人の犬のいっしょに可愛がる生徒さん。生徒さんはミクシィのコミュニティで意見交換などして、仲良くしているそうです。自分の犬も人の犬のいっしょに可愛がる生徒さん。生徒さんはミクシィのコミュニティで意見交換などして、仲良くしているそうです。

  私はよく「リードでつながるのではなく、心でつながって」と言っています。犬が常に飼い主さんのことを意識していれば、呼ばれたらすぐに戻れるはず。これはガンドッグに限ったことではなく、小型犬でも同様です。

  さらにガンドッグは、呼ばれなくても自らの意思で、飼い主を確認して戻ることができるレベルを目指したい。犬が自分で考えて行動できるまでステップアップすると、ノーリードで広い野原をビュンビュン走りまわっても安心なので、運動欲求を満たしてあげることができます。

  吠えたり噛んだりする犬を叩いたり怒鳴ったりしながら暮らす。犬のいる生活とはそんなものではありません。犬と人とは以心伝心、心と心でつながることができるようになるのです。

  犬と暮らして本当に良かった! 飼い主さんが心からそう思ってくれることを、私は願っているのです。

犬と楽しく暮らすためのトレーニング 第3回 ほめて育てるトレーニング

山本聖文

山本聖文

投稿者の記事一覧

(やまもと きよふみ)

ガンドッグトレーナー
ドッグライフカウンセラー

会社員として不動産関係の仕事をこなす傍ら、学生時代から続けていた馬術の訓練のため、1987年、イギリスへ留学。
馬術の指導教官がガンドッグの訓練を手掛けていたことから、トレーニングの基礎を学ぶ。
2007年、指導教官が所属するガンドッグクラブでの研修を経てガンドッグトレーナー、ドッグアドバイザー(犬種アドバイザー)の認定を受ける。同年、社会動物環境整備協会の資格試験にトップの成績で合格し、ドッグライフカウンセラーとなる。
2007年12月 「DogSchool I’ll(アイル)」を設立し、現在に至る。
DogSchool I’ll Webサイト:http://gundogsch.exblog.jp/

関連記事

  1. 殺処分ゼロを目指して~「ちばわん」の活動から~ 第3回 「ちばわ…
  2. ハンドバッグ犬 ~歩き方を忘れた犬たち~
  3. 犬と共に踏み出す一歩「KIDOGS」 第3回 若者と保護犬 KI…
  4. イヌに教え、教えられ 第10回 引きずらないって、素晴らしい!
  5. 人と動物が共生する社会のために 第4回 社会のなかで働く犬 ― …
  6. イヌに教え、教えられ 第28回 互いに成長する関係
  7. アメリカの動物事情 第6回 刑務所や少年院でのドッグトレーニング…
  8. イギリスとスイスの動物事情 第3回 スイスの動物事情「SVPA(…

今月の人気ランキング

PAGE TOP