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鳥猟犬をたすけるために 第9回 多くの犬とのめぐりあい

鳥猟犬をたすけるために

第9回 多くの犬とのめぐりあい

    金子理絵 コンパニオンアニマルクラブ市川代表


里親とのミスマッチ

-失敗談があればお聞かせいただけませんか。-

 一番の失敗は犬の性格をしっかり見極められなかったことではないかと思います。自分が犬をかいかぶってしまい、犬の性格を決めつけ、しかもそこに誤りがあるということ。これは本当に失敗をします。犬の性格の見極めを誤ると、お渡しする里親さんが変わってしまいます。この子にはこういう里親さんがいいと思って渡しても、実際にその子が私の思っていた性格じゃなければ合わないわけですから、そこがやはり一番気をつけなければいけないところです。

-お渡しするミスマッチというのは結構ありますでしょうか。-

 いえ、ないです。返還率が少ないです。20何年の間で5本の指で足ります。 

-では、その失敗は心に残っているということですよね。-

 こちら側から強制的に返還を申し出たのは1回だけです。やはりお渡しした条件と飼育されていた条件が全く違ったと言うことがありました。北海道まで取り返しにいこうかなと思って、いろいろとお話をして、でも最後はご理解いただいて送り返していただきました。お届けは行きましたが、あとは帰ってくるのを待っているだけしかなかったですから。本当に裁判をやる覚悟で返還請求しました。

-そのときはそれほどに劣悪な環境だったのでしょうか。-

 劣悪ではなくて、北海道で室内飼育を求めて里子に出していたんです。ところがその子達が老犬でトイレが近くなってしまっていて、臭いがひどいということで日中はずっと外に出されてしまっていたわけです。北海道の十勝というのは寒いですし、霜が降りていたりします。

 朝から晩まで雨の中でもずっと外にいたらしく、ご近所の方が目撃して連絡をくれたんです。雷が落ちた日には、外にいたその子達の近く落ちたそうです。私達は、こちらにいるのでその子たちの状況は聞かされなければわからないわけです。ただこの場合は報告をしてくださった方がいて、現状を把握できましたので、絶対に返還をお願いすべきだとすぐご連絡しました。

 家の中にちゃんと入れて欲しいと最初は改善を求めたのですが、その後も結局同じで外で飼われていたんです。もう絶えられなくなって、返してくださいと申し出ました。4月5月に外に出されっぱなしは、老犬にとっては負担になります。

 返還を申し入れたのはそれだけですね。あとは里親さんの方から、暮らしはじめてみたら思っていたものと違う、こんなに大変だとわからなかったということで返されたり、ワンちゃんの方が里親さんを受け入れなかったりということですね。

-このあたりになると、ワンちゃんの性格の問題によるのでしょうか。-

 そうですね。このシェルターになってからは、返還は1頭だけです。今のお話というのは、三番瀬の400頭500頭のうちの数ですから、たいしたことはありません。マジック君(噛みつき事件の保護犬)においては、保護してから期間が浅かったんです。要はシェルターなので、その犬を家に放したこともなければ、ここでフリーにするという光景を見ていないんです。

 ワンちゃんの性格を見極める材料も少なかったので非常に難しかったんです。私と一緒に暮らしている犬であればそんなことはないですが、ここは家庭内のようすもフリーになったようすも見ずに判断していかなければいけない、犬を理解しなくてはいけないので、私的にはすごく難しかったです。ですがその問題は、ドッグトレーナーの先生がアドバイスくださるし、事前にこの子がこういうおうちに行くというのを、お届けの当日に先生が一緒に来てくださって見ていただけます。そして先生がここを注意してくださいとか、こうした方がいいですよとかアドバイスをくださるので、うまくいってます。

-返還は、そんなに件数もないということですね。-

 ないですね。本当にそれだけが有り難いです。戻って来るということとなると近場もいるのですがやはり空輸が多くなります。飛行機にはじめて乗る子もいるので、犬へのリスクがすごく高くなりますし、お金も高くつきます。四角い囲いのバリケンには慣れているのですが。なにかわからないけれども、毎日毎日、これでいいという納得はないですね。

多くの犬とのめぐりあい

-成功談、楽しかった、よかったと思うことは、どんなことがございますか。-

 私が預かってきた犬は、一人の人間が一生のうちで飼える頭数ではないですよね。たぶん私だったら、家庭を持つところから飼いだして、15年ずつでも2頭か3頭がいいところだと思います。あってはいけないことですが、やっぱり多くのワンちゃん達とめぐりあってしまってはいるので、それは自分にとっては嬉しいことでもありますね。ここに来てくれたと言うことが嬉しいことなのかな、会えてよかったって思います。

 本来、鳥猟犬の救済活動というのはない方がいいとは思いますが、そういう世の中にするには難しいと思うので、こういう風潮があるのならば、受け入れていく。この子達を受け止めてあげる場所であればいいかなと思います。本当にたくさんのワンちゃんに会ったので、どの子もどの子もやっぱり一頭一頭、保護してから里子にでていくまでのストーリーがあります。

 でも、それは遠方に離れている方にお預けしてしまっているからというわけではなく、自分達の身近で見ているからではないかなとは思います。もうちょっとこの子達のことを理解していただいて、そういう方が増えてくれば、自分達だけで抱え込まなくても、よい活動ができるとは思います。その方が広められるし、多くの犬を救えるのかなと思います。

-預かってくれる場所がたくさんあるということでしょうか。-

 受け入れられる家庭環境があれば、訓練後その子をおうちの中に入れるというのはいいですね。訓練も早くつきやすいんです。一貫して同じ人がお世話をするから、ワンちゃんにとっても負担が減りますし。

―「ドッグシェルター」さんという保護団体では、預かりさんというお宅がありますよね。-

 最近普通はそうだと思います。私がやっているようなこういうシェルターの方が少ないんだと思います。ただ、私達がやりたい犬種では、預かりさんはもともと少ないです。さっきのフォワードくんのおトイレ騒ぎ(施設の犬が糞や尿を飛ばした行動)をみても扱うのが大変だと思います。

 通常の方だったら、だいたいリビングに犬がいますよね。そうするとたいていの男の子はやるんです。しかもあそこに加えて便が入るわけです。そして飛ぶんです、こういう動きなのであっちにポン、こっちにポンとやると1メートルずつぐらい飛びます。あの子達を家庭の中で保護してくださいと言っても預かれないと思うんです。

 本当に家族の理解があって、ご主人が参加する、奥様が参加してくださらないと、とても難しい。うちも部屋分けをした理由はそこにあるわけで、やっぱり前の古い家の方は、犬も猫も一緒だったんですが、排泄の問題はやはりあって、どうしても頭数が多くなると飛んでしまうこともあるので、分けることでお世話も管理もしやすくなりました。そういった衛生面の問題は人間のストレスにもなるんですね。

鳥猟犬をたすけるために
第8回 「いのち」をめぐる多くの課題

鳥猟犬をたすけるために
第10回 「声よ届け、想いよ届け」

金子理絵

金子理絵

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(かねこ りえ)

コンパニオンアニマルクラブ市川代表

平成5年度より、千葉県市川市塩浜護岸沿いの捨て犬(三番瀬の犬達)をレスキュー。 平成20年度より千葉県動物愛護センター登録ボランティアとなりイングリッシュ・セッター、ポインターを主にレスキューをしている。
 職業は、歯科衛生士。
掲載:地元タウン紙に連載記事

コンパニオンアニマルクラブ市川ホームページ:http://cac-ichikawa.com/

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