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猫を飼い始めてからの必須ステップ 後編 – 混合ワクチン、避妊去勢手術、ペット保険

 

猫を飼い始めてからの必須ステップ

後編

混合ワクチン、避妊去勢手術、ペット保険


 猫を飼う際に通るいくつかのステップについて、今回は猫の混合ワクチンの内容、避妊・去勢手術、動物病院での治療費等を含めて取り上げていきます。

猫に多い3種混合ワクチン

 猫のワクチンは義務化されたものはなく任意ですが、その中でワクチン接種を希望される飼い主さんの最も多い選択は3種混合ワクチンです。
オリーブ動物病院(東京都国分寺市)の有薗浩見院長曰く、「当院ではワクチン接種希望者の8割~9割が生後2か月目前後から始める3種混合ワクチンをされています」とのこと。

3種混合ワクチンの費用は、一回当たりおおよそ3千円から6千円です。

◇3種混合の内容を挙げてみましょう。
(1)猫ウイルス性鼻気管炎―一猫風邪とも呼ばれ、人間の風邪と同様の症状が出ます。
(2)猫カルシウイルス感染症――猫風邪や猫インフルエンザなどとも呼ばれますが、特徴的な症状は口内炎や舌炎など口腔内にできる潰瘍です。
(3)猫パルボウイルス感染症(猫汎白血球減少症)――おう吐、下痢、血便などがおもな症状で、致死率が高いです。

「当院では、猫の飼い主さんでワクチン接種を希望される方は少数派で、全体の半分程度にとどまっています。」(有薗先生)
国内での猫の飼育は「室内のみ」が最多で、2016年度の統計(一般社団法人ペットフード協会)では全体の71%となっています。室内飼いなら感染症のリスクが少ないため、ワクチン接種を希望されない飼い主さんが多くなっているようです。

ただ、接種希望の場合も、必ずしも毎年1回接種しなくてもよく、室内飼いで1匹だけというような飼育環境であれば3年に一度でも可となっています。副作用のリスクの観点からも、飼育環境と飼育頭数などの条件によって判断すべきで、必要以上に多く打つ必要はありません。

3種混合以上の場合は単独で打つワクチンもあり、また、単独で打たなくても4種混合以上に含まれているものがあります。

「4種だと猫白血病、5種だと抗クラミジアが3種混合の内容に加わります。また現在、猫エイズウイルスのワクチンは採算が合わなかったり普及しなかったことで、国内製造は中止されています。希望される場合は動物病院経由で輸入してもらって接種する形になります。価格はやや高く、1万円前後です。」(有薗先生)

飼育ステップで最も大きい費用、避妊・去勢手術

犬猫の飼い主さんにとって、病気やけが等不測の事態の出費以外で最も大きい費用となるのが避妊・去勢手術です。手術する時期は、生後半年から1年くらいです。個体にもよりますが、生後半年くらいから妊娠が可能になってくるためです。

「犬の場合、メスの避妊手術はされない場合もあります。でも、猫の場合は発情期のメスの鳴き声が非常にうるさいので行わざるを得ないでしょう。現状、猫はオスもメスも手術することが多いです。」(有薗先生)

◇猫の避妊・去勢手術の費用を見てみましょう。
・事前の血液検査費用: 5千円~1万円くらい。手術前に危険性の有無を調べるために行います。
・オス去勢手術費用: 1万円前後~2万円。
・メス避妊手術費用: 2万円前後~3万円。
・入院費(手術後): 1泊3千円前後。

「宿泊費用に関しては、手術後の状況や獣医師の判断によって1泊~5泊など入院させる日数が異なってきます。」(有薗先生)
基本的にこれら3点(血液検査、手術、入院)の費用がかかりますので、まとまった費用が必要になります。

ペット保険は?

 ペット保険の加入率は近年、徐々に上がってはいるものの、ペット全体ではまだ5%程度にとどまっています(一般社団法人ペットフード協会調べ)。保険加入者自体がまだ少ない状況ですが、加入しているのは猫よりも犬の飼い主さんが圧倒的に多くなっています。猫はきちんと食事管理をしていればあまり病気にかかりませんが、犬は猫より病気にかかるリスクが高いため加入者が多いようです。

「当院でも猫の加入者はほぼおらず、犬の飼い主さんだけです。そのほとんどは月額3千円~4千円程度の掛け捨てをされており、医療費の50%がカバーされます。最近は他業種からの参入もありペット保険会社も増えて、月額1500円程度の安い掛け捨ても出てきています。」(有薗先生)

ペットフード協会の調査(2016年度)によると、医療費を含む猫に関する1か月の支出額は5,403円となっています。そのうち主食フードが2,964円、おやつ用が1,396円となっており、残る約1,000円の中に医療費その他が含まれています。一方、犬ではフード類を除く1か月の支出額は約3,500円ですから、やはり保険を含め医療費も猫よりは多くかかっていると見られます。

猫のペット保険加入はまだまだ足踏み状態が続きそうですが、猫の飼い主さんにとっては全体の支出が抑えられている利点にもなっています。

取材協力:オリーブ動物病院(東京都国分寺市)http://www.olive-ah.com/index.htm


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