すまい

犬と楽しく暮らす~快適住まいづくり 第1回 犬の行動範囲をもとにレイアウトを考える

犬と楽しく暮らす
~快適住まいづくり

第1回
犬の行動範囲をもとにレイアウトを考える

    


十数年前まで、日本では「犬は外で飼う」というイメージがありました。
靴を脱いで過ごす日本式住宅、そして番犬として犬を飼っていた日本人にとって、当たり前の飼育スタイルでしたが、今や都心のマンションのみならず、郊外の大きな庭がある一軒家でも、欧米のように犬と室内でともに暮らす家が多くなってきました。

 
犬の体と心の健康のためにも、人と犬とが共に生活するうえでのマナーやルールを学ぶためにも、室内で一緒に暮らすことはとても大切で効果的なことです。
しかし、もともと気候や動物観に違いがある日本と欧米なので、欧米の飼育スタイルをそのまま取り入れることで、様々な困ったことやトラブルも発生しています。
例えば「におい」「汚れ」「傷」「吠え」「滑りやすい床材」など、これらの困ったことやトラブルを解消するために必要なことは、「対策」と「トレーニング」、そして何より大切なことは「犬の気持ち(犬種特性)」を知ったうえでの工夫です。
そして、飼い主さんの気持ちを感じやすい犬たちだからこそ、飼い主さんが心地よく暮らせる環境を整えれば、犬たちもリラックスして楽しく暮らせる環境になるのです。
 
「犬が楽しく暮らす!快適住まいづくり」では、この3つの視点から、犬が楽しく!人が快適な住まいづくりの工夫をご紹介していきます。

 

まずは「犬の行動範囲考えた、トレーニングもしやすいレイアウト」

汚れ・傷・においの防止や無駄吠え対策として、設備やグッズに意識がいきがちです。
しかし、もともと防止や対策をしなくてはならない状況にならない環境を整えることができたら、設備もグッズも最小限でいいようになります。
犬が極度に吠えたり、室内を荒したり汚す行動は、ストレスが原因になっていることもあります。
これらの行動の理由をみてあげましょう。
そして、トレーニングするためにも大切な問題になる行動を誘発させる要因をなくす室内環境(レイアウト)を整えることからスタートしましょう。
 
*ステップ1 【居場所を明確にする】】
場所にメリハリをつける!
犬にとって危険だったり、衛生上の入れないほうがいい場所(キッチンなど)があります。
犬が入っていい場所といけない場所を扉や段差などで明確に区別しましょう。
扉や段差がない場所は、柵や棒をおいて境界を認識できるようにします。
《場所のメリハリをトレーニングに活用することもできます》
「家の外でも、扉や段差がある場所にきたらいったん止まって飼い主の指示をまつ」
お店や道路の横断にも応用できます。

 
*ステップ2 【生活範囲を制限する】】
家の中でフリーにしておく方が、犬にとってストレスにならないと考える飼い主も多いですが、犬にとって自由すぎることがストレスとなることもあります。
犬にとって、「自由に動ける場所=テリトリー」となり、そのテリトリーを管理する責任が発生します。
テリトリーに許可なく入る者は侵入者となり、リーダーシップが取れていない場合は飼い主家族も例外ではありません。
これらのことが原因で起こる問題は、犬の管理範囲(テリトリー)を減らすことで解消します。
また、その範囲は、家族が犬とどんな暮らし方をしたいかの考え方によって設定していきます。
ここでは大きく分けて3タイプの考え方をご紹介します。
 
     ・タイプ1 リビングなどエリアを限定する
     家族みんなが集まるエリアを自由に行動する場所にして、
     その他の場所への出入りは、人の目があるときだけにする。
     ・タイプ2 家中を自由にさせる
     安全と衛生上、出入りさせたくない場所以外は自由に行動させる。
     仔犬やトレーニングがしきれていない犬の場合は不向きです。
     これらの犬の場合は、トレーニングの段階に応じて徐々にエリアを広げていくことと、
     自由に行動する場所にいたずらするようなものを置かない工夫が必要です。
     ・タイプ3 夜だけ室内に入れる
     日中は庭など屋外で過ごさせ、夜は室内にいれて生活するタイプです。
     屋外での居場所は、できるだけ人の気配を感じれる場所にすることが理想です。
     屋外と室内の間に、土間やタイルの半屋外スペースがあると汚れ対策に便利です。
 
*ステップ2 【安心で快適な場所(=ハウス)を与える】】
制限するだけではなく、犬が安心して過ごせる快適な場所をつくりましょう。
「ハウス」=「安心できる場所」
犬にとって不安があるとき逃げ込む場所、落ち着いてお留守番できる場所として、とても大切な居場所です。
寒暖差があり、外部の音が聞こえやすい窓際や玄関周りは避け、家族から孤立させないリビングの一角などにつくりましょう。
 
*ステップ3 【収納スペースの確保】
壊される前に触らせない!
「こんなものまで!」と飼い主の想像を超えるほど遊ぶことが得意な犬たち。
整理整頓、できるだけモノを出さないように収納スペースをつくりましょう。

 
次回は、より具体的な住まいの工夫をご紹介します。

 

2016年10月14日掲載

吉川 奈美紀

吉川 奈美紀

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(きっかわ なみき)

ヨガ・ピラティス・空中ヨガ インストラクター
メディカルアロマアドバイザー

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