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ペットの若さと健康維持

ペットの若さと健康維持

 

    


 現在の高齢化社会の中で、いかに若さと健康を保つかということが重要視されていますが、それはペットにとっても全く同じことだと言えるでしょう。ペットの寿命が昔より2倍ほど伸びた今、日本のペットたちも高齢化しています。そこで人間とペットとの大きな違いといえば、自分自身で若さや健康を保つ努力ができないということです。つまり、ペットの老化や病気の兆候に気づいて生活習慣を改善し、予防してあげられるのは飼い主さんしかいないのです。

7歳からはできるだけ定期検診を

 健康で長生きするということについて心掛けることは、人間もペットも共通部分が多いようです。まず基本的なこととしては、病気の兆候を早期発見するために、定期検診は面倒がらず、かかりつけの動物病院で行ってもらうことです。東京都国分寺市にあるオリーブ動物病院の有薗浩見院長は、このような目安を挙げています。

 「7歳以下のまだ若い犬なら定期健診は年1回でよいですが、中年期に差し掛かる7、8歳を超えてからは、年1、2回受けておいたほうが無難です。10歳以上になれば、年2、3回が望ましいですね。」

 また、定期検診を受ける飼い主さんの中でも、どこまで検査をするかは人によります。多くの場合は「聴診、視診、触診、体温、心拍数」などの検査、さらにチェックしたい人は、「検便・検尿、血液検査、レントゲン」、そして少数派ではありますが「心電図、エコー検査」、「MRI、CT」検査まで段階があります。

 有薗先生は「飼い主さんの希望をお聞きし、どこまでやるかを決めますが、最近は血液検査からレントゲンまでの方が多いですね。」とのこと。定期検診には確かに費用はかかりますが、病気が進行してしてからの治療費のほうが高くつく可能性も大きく、出来るだけ検診で早期発見を心掛けておくほうがよいでしょう。

老化や病気につながるサインを見逃さず

 ペットの目が段々青白くなってきて、白内障の兆候が出てきて初めて老化現象に気付く飼い主さんは多いようです。薄毛や白髪に関しては、さらに老いた10歳以降から始まっていきます。そのほかには、歯が抜けてきて、その隙間が鼻腔に通じてちくのうになったり、口腔内の菌が内臓に侵入し、肝臓・腎臓、肝炎・腎炎などの病気に発展することもあります。生活習慣病に関しては、よく、ペットの体型や病気が飼い主さんと似てくるとも言われます。

 「確かにそういう傾向は見られるようです。太っている飼い主さんは、ご自身も間食しがちなことが多く、その時、ほかの家族が注意してもついつい犬におやつをあげてしまったりしますね。そのせいか、飼い主さんが糖尿病で、ペットの犬も糖尿病になったということはあります。」と有薗先生も注意を促しています。「人間の食べ物をあげたり、食べさせ過ぎるのはだめ。空腹の時間とのメリハリが必要で、だらだら食べていると高血糖が続き、糖尿病になりやすいのです。」

基本は「食事」「睡眠」「運動」

  「健康維持と老化の防止には、食事と適度な運動、そして睡眠の3つが大事です。」と有薗先生。通常は1日2回の食事で腹八部目、栄養バランスと年齢に応じた栄養量を考えて、補えないものに関してはサプリの活用も有効です。関節にはグルコサミンやコラーゲン、目にはアントシアニンやルテイン、認知症にはEPAやDHAなど、特に食事からは吸収しきれない高齢のぺットには助けになるでしょう。

 睡眠については、ペットの生活は次第に飼い主さん家族の生活時間パターンと合ってくるため、人間が睡眠の邪魔をせず、疲れたら寝かせてあげることが大事です。

痴呆を防ぐための工夫

 そして運動ですが、これは体力維持のためにも、痴呆を防いだり進行を遅らせるためにも重要です。単調で刺激のない生活は老化を進ませる原因となります。「散歩のコースを変えたり、同じコースでも逆経路にしてみたり、知らない場所や旅行に連れて行くことなども効果的です。そのほかの方法としては、若い犬を新しく迎えて複数飼いをし、一緒に遊べるようにすることです。運動にもなり、良い刺激が得られます。」また、「五感すべてを刺激するために、ペットにマッサージをしてあげたり、飼い主さん家族が遊んであげたり、話し掛けたり撫でてやるなどして、日常生活でのコミュニケ―ションとスキンシップをぜひ大切にしてください。」と先生はお勧めしています。

複数飼いの効果

 「複数飼いのタイミングとしては、先住犬が7歳から8歳くらいになったころに新しい犬を迎えれば、その犬が後に中年期に入ったころに、また次の新しい若い犬を迎えるという形でローテーションがうまくいくと思います。」と有薗先生。歳の差がありすぎても運動量の差から、遊び相手として不釣り合いになってしまいます。運動量を含め、相性の良いペットをよく見極めて迎えれば、仲間がいることで中年期に差し掛かったペットも単調な生活から抜け出せます。そして、それがペットの若さと健康維持につながっていくことでしょう。

取材協力:オリーブ動物病院(東京都国分寺市)http://www.olive-ah.com/index.htm


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