しつけ・ケア

お悩みグセ解消エクササイズ 2時間目「拾い食い」

お悩みグセ解消エクササイズ

2時間目「拾い食い」

里見 潤 (ドッグコーチ)


散歩中、落ちている食べ物を咥えて食べる「拾い食い」は、時に犬の体調や命に関わることもある問題です。チョコレート、骨付き鶏肉、タマネギが入っているハンバーグ、魚介類が入ったピザなど、お腹を下す、多量に取れば中毒症状を起こすものや噛み砕いて飲み込んだ骨がのどや内蔵に刺さるものは危険です。また咥えた食べ物を口から出させようとすると、取られたくないという「所有欲」から飼い主さんに咬みつく可能性もあります。落ちている食べ物があっても飼い主の指示で我慢できるように訓練しましょう。

 

1.室内で練習しよう

Step1

菓子パンや食べ残しが入っている包装袋など、散歩中に落ちていそうな誘惑物を気付かれないよう事前に置いておきます。

Step2

リードを付け、室内を一緒に歩きながらさりげなく食べ物に近づきます。

Step3

愛犬が気付き、拾おうとしたら届く一歩手前でグッとリードを張り(引っ張り戻すのではなく、腕を止めてリードを「張る」)、愛犬の口が食べ物に届かないようにします。

 

2.「拾う」と「拾わない」どちらが得かを考えさせる

口が届かないようにリードを持つ腕はそのまま動かしません。引っ張り戻しては駄目です。
犬は余計に引っ張り返すか、引っ張られたときは拾い食いしませんが、それでは自分で考えて我慢したことにはなりません。
この際になだめたり、指示の言葉は掛けず、無言でじっと待ちます。

 
 

3.諦めて、飼い主が望む行動を取ったら褒め、ご褒美を

言葉を掛けない、引っ張り戻さない、待つ。
この対応を取っていると、何度も拾おうとしていた犬が、引っ張らなくなってきて犬は考え出します。
飼い主さんを見上げり、その場で座るなど、拾うことを一旦諦めて別の行動を取ったら、そのタイミングを逃さずに褒め、普段は貰えないような特別なオヤツをあげて下さい。

落ちている食べ物があっても拾いにいかず、飼い主さんを見上げる、その場で座る行動がすぐに出るようになれば、拾うよりも飼い主さんに褒められ、ご褒美を貰った方がいいと考え始めるサインが出るまで繰り返し練習しましょう。
 
以前は・・
食べ物が落ちている = 食べたい!拾おう → 食べ物を拾おうと引っ張る
これからは、
食べ物が落ちている = 座って待つ、飼い主を見た方が特別なオヤツが貰える → 拾い食いしないほうが得じゃん!

 

4.外で練習しよう

車、バイク、自転車、人通りが少ない道や広場で1〜3を練習しましょう。
外では色々な匂い、刺激や誘惑があり、興奮しやすいので室内練習より難しくなります。諦めて飼い主を見上げる、座るまでの時間が長く掛かることもあります。
根気よく練習しましょう。協力者を募り、愛犬に気付かれないよう事前に食べ物を置いてもらうと、より実践的な練習ができます。

落ちている食べ物に近づく  →  愛犬に考えさせる  →  拾うことをやめたら褒める

 

5.いい行動を習慣にしていく

落ちている食べ物に反応した後、強い抵抗無くスムーズに諦めるようになれば、次のステップです。
諦めて座るか飼い主を見上げた愛犬の鼻先にオヤツを握った手を充て嗅がせます。後ろに下がっていき、犬が手の中のオヤツの匂いを追い、落ちている食べ物から離れるように誘導しましょう。数歩離れたところで犬を褒め、手の中のオヤツをあげて下さい。
「落ちている食べ物を拾う」のではなく、「飼い主の手からオヤツを貰う」よう習慣化するまで練習しましょう。

また「呼び戻し」が十分に出来ている仔は、オヤツでの誘導は使わず、後ろに下がりながら呼び戻しをして、落ちている食べ物から離れてから十分に撫で、声をかけ褒めた後に初めてポケットからご褒美のオヤツを出してあげるように練習しましょう。

 

6.落ちている食べ物を素通りする練習をしていく

5までスムーズにできるようになったら、次のステップです。
落ちている食べ物から離れるとき、後ろに誘導しながら3、4歩下がったらクルッと反対方向に向きを変え、そのまま歩き出す練習をしましょう。
「アイコンタクト」が出来る仔は向きを変える時にアイコンタクトをとりながら歩くようにしましょう。
落ちている食べ物を諦め、歩いて離れてから褒め、ご褒美をあげましょう。

 

7.そのまま前に進みながらでも諦められるように練習しよう

落ちている食べ物を一旦諦め座った後、オヤツを握った手でうまく誘導して「アイコンタクト」を取りながら進行方向に進みそのまま散歩を再ストートする、普段の散歩中に落ちている食べ物を見つけた際の対応に近い形で練習をしていきましょう。
うまく出来てやり過ごせたら褒め、オヤツをあげましょう。

「呼び戻し」 「アイコンタクト」は「愛犬としつけエクササイズ」をご参考ください

 

WAN!ポイント

 

◎拾い食い解消は基礎練習を先にやってから

「スワレ」「呼び戻し」「アイコンタクト」基礎トレーニングができるようになってから、「拾い食い」の練習を始めるとよりスムーズにいきやすいでしょう。
 

◎練習期間中は拾い食いを経験させない

練習期間中に普段の散歩で落ちている食べ物を拾い食いさせないようにしましょう。
普段の散歩で拾い食いされていると、練習と本番を区別するようになり、練習では出来るが本番ではできないようになってしまいます。拾い食いされてしまう経験をこれ以上させないようにしましょう。
 

◎状況、環境を変えて数多く練習し、出来るようになった行動を習慣に

練習用にセットする食べ物は色々と変えて練習しましょう。色々な場所で数多くの練習をすることで、行動を習慣化できるようにすると本番での成功率もグッと上がります。
 

お悩みグセ解消エクササイズ
1時間目「チャイム吠え」

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3時間目「お手入れが苦手」

里見 潤

里見 潤

投稿者の記事一覧

(さとみ じゅん)

ドッグコーチ

1975年、横浜市生まれ。2004年、警察犬訓練校に入学、出張トレーニング会社を経て、保護活動団体「Dog shelter」の専属スタッフとして、保護犬のトレーニング、一時預かり家庭と里親家庭の間に入り、アフターフォローを担当する。
2012年7月より独立。出張、及び預託トレーニングを柱に活動する傍ら、保護犬の一時預かりを継続中。
 
日本警察犬協会公認訓練士
ジャパンケネルクラブ公認訓練士
東京都動物愛護推進員

 保護犬預かりを主に、トレーニングのことを書いている里見潤さんのブログ
 「イヌと歩けば。」http://setahachidog.blog.fc2.com

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